2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小谷野敦 / 帰ってきたもてない男 (ちくま新書)

吹っ切れた感じというか、筆者が結婚・離婚を経て得たものが文章全体から滲み出ていて、それは相変わらず無骨なのだが、なにか清清しい感覚を与える。前作よりだいぶ「怨念」が薄れ、ユーモアが増したような気がするのだ。とにかく『もてない男』を最初読ん…

しりあがり寿 / 弥次喜多 in DEEP(4巻、廉価版、エンターブレイン)

21世紀の『火の鳥』っぽかった。明らかに手塚治虫を意識しているのが、わかりました。文学してます。

坪内祐三 / 文庫本を狙え!(晶文社)

読書の更なる手引きとしても役立ちます。活字中毒者の生態が垣間見えるは楽し。

三砂ちづる / オニババ化する女たち (光文社新書)

問題の多々ある随筆だが「体に目を向けよう」という身体論の啓蒙書としては良い本でないかと思う。著者の専門がお産にかかわることだから、仕方が無いと思うけれど、男性読者の「からだ」についてはあまり触れられていない。後半の「身体感覚の低い男は、身…

中村うさぎ / 対談集 人生張ってます (小学館文庫)

花井愛子―相続バトル・自宅競売・自己破産のススメ? 岩井志麻子―デブ・デブ・デブが好きなんじゃ! マツコ・デラックス―130キロ女装家のラブリーな日常 西原理恵子―金がないのはクビがないのと同じや! 斎藤綾子―パチンコとセックスと欠陥住宅と (目次より) …

伊藤俊治 / 裸体の森へ (筑摩書房)

米国の1920年代から80年代にかけてのポルノグラフィ年代記。ポルノ写真の変遷を通して、20世紀の合衆国におけるエロティシズム、男が欲望するファム・ファタールの変容を描いている。性的欲望を喚起する装置としてのポルノ写真への分析を通して、エロティッ…

id:oniyome氏上京に伴う島医者親睦会@下北沢Zaji

id:oniyome氏の上京に伴い、id:mktz128氏と三人で、下北沢でたらふく飲み食べ歌い踊る。話題はフロイドのファルス主義、精神分析学と「物語」の効能、カウパー博士とバルトリン博士にまつわるエピソード、骨と軟骨の差異、ホルモンバランスが人間の心身に及…

第2章 フーゴ・バルについて 2-2バルと戦争

ベルリン、1914年11月。わたしはいまクロポトキン、バクーニン、メレジコフスキーを読んでいる。国境の前線に二週間いた。その間ヒューズで最初の戦死者たちを見た。砲撃の跡も生々しいマノンヴィエールの堡塁で、瓦礫のなかにずたずたに引き裂かれたラブレ…

第2章 フーゴ・バルについて

連載 卒業論文:ふたりのダダイスト 第5回

第1回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050701#p1 第2回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050712#p1 第3回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050714#p1 第4回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050716#p1

July 25, 2005たびたびこんにちは。 更新ばかりしているけど、暇じゃないんですよ。去年の暮れから盛り上がっているハバロフクステクノシーンの重鎮「赤い鋼鉄」の新譜をゲットしましたー。本当はほかにやらなきゃいけないことがたくさんあるのですが。つい…

July 24, 2005たびたびこんにちは。更新ばかりしているけど、暇じゃないんですよ。今日はちょっとまじめな話をしようと思います。みなさんも新聞やニュースで目にしているあの出来事についてです。そしたら、なんだかじゅんとしてきちゃたんです。 ♪ けさ君…

July 23, 2005いやっほう! 寝る前にブログを更新するのが日課になりつつあります…。 きょうもおきたら午後でした。流れ行く雲をぼんやり見たり、雲の種類をネットで調べたりしてました。なんというかですね。うまく言えないのですが、やっぱり毎日が勝負だ…

鶴見俊輔、聞き手:山中英之 / 読んだ本はどこへいったか(潮出版社)

「かるた」を通して、生活に基づく近世庶民の知恵の深さ豊かさを語る良い一冊。島崎藤村と岡本一平が、明治末につくった『藤村いろは歌留多』が出て来るのが面白い。藤村と歌留多という意外性。藤村のことばに絵をつけた、この一平が岡本太郎の父君ですな。…

Co-rchestra (コケストラ) / 谷川賢作 / ロバの音楽座 / Saturday Evening Post@吉祥寺スターパインズカフェ

オープニングアクトで、友人の斎藤くん率いるSaturday Evening Postが30分くらいパフォーマンスした。彼が最初ステージに一人で出てきて、10分くらいソロで、サンプラーを使っていろいろの音を重ねて豊かなサウンドスケープを作り出す趣向。おばさま方や子供…

電車男の伊藤淳史

先々週偶然「電車男」の第1回を観たのだが、主演が伊藤淳史なので驚いた。彼は昔、とんねるずの番組にチビノリダーとして出演していたらしいが、そのころのことは知らない。彼のことを知ったきっかけは、長尾直樹監督『鉄塔武蔵野線』という映画だ。銀林みの…

BOXCOX ほか@三軒茶屋グレープフルーツムーン

BROWN氏とBOXCOX(シンガーソングライター福岡史朗氏のバンド)を観に行った。福岡氏のライブを観るのはなんと4年振り!ライブが跳ねて、久しぶりにご挨拶した際に、「前いつ観たの?」と訊ねられ「確か、セカンドアルバムが出たころでした」と覚束なく答え…

浦沢直樹 / PLUTO (2巻、小学館)

しりあがり寿 / 弥次喜多 in DEEP (3巻、廉価版、エンターブレイン)

山田詠美、中沢新一 / ファンダメンタルなふたり (文春文庫)

町田康、いしいしんじ / 人生を救え!(毎日新聞社)

本田透 / 電波男 (三才ブックス)

滅法面白く、ユーモラスなエッセイとして、素晴らしいクォリティである。ただ、話を分かりやすく面白くするために、世界がオタクとDQNだけで構成されているかのような塩梅で描き進められているので、その間にいるどっちつかずの人間に、どの程度のインパクト…

鶴見俊輔 / 戦時期日本の精神史(岩波書店)

鶴見によるカナダでの英語による講義の翻訳。なのだけど、これがこなれていない直訳調で読みやすいような、読みにくいような妙な感じ。「転向」という視点から、戦前〜戦中〜戦後の日本人の心の在り方について、とても良く整理してあって、知性を感じた。素…

検索:海の日 起源

7月には「海の日」という、実に漠然とした名前の祝日がいつからかあって、わたしはこの日がきっと昔の海軍記念日か何かで、それを自民党の保守派がよってたかって祝日にしたんだろうと勝手に思い込んでいたが、実際は違った。まず手近にある広辞苑(第二版)…

サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィル演奏 / シェーンベルク:グレの歌

CD

聴いていたら、疲労とその心地よい天使の歌声のような旋律が相俟って昇天してしまいそうに官能的だった。これ、生で聴いたら、そうとうカタルシスがあるだろうと思う。生で聴いてぜひ一度精神の排便感を味わいたい。

中村光夫、三島由紀夫 / 対談・人間と文学 (講談社文藝文庫)

一度読んだだけじゃ、うまくめとめられないような気もする。おもしろい。 三島由紀夫ってひとは、雑駁に言うと、大日本帝国ルネッサンスをやりたかったひとなんだなーという印象。結局、叶わずして自決するわけだけれども、こういう変態のひとは(明らかに変…

磯田和一 / 書斎曼荼羅 (1巻、東京創元社)

これは絵巻+絵詞みたいな構成の本で、読むというか見ていくという塩梅なんだけれども、成功者のでっかい家に沢山本があっていいなあ、という感じ。磯田の絵はあんまり好みじゃない。(笑い)とか汗のマークを多用するのが嫌だ。仮にもイラストレーターなん…