2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ユリイカ増刊『オタク対サブカル』を読んで

ユリイカ増刊『オタク対サブカル』を読んだ。「もしやオタク、サブカルの比較文化論みたいなことをやっているのかな」とすこし期待して読んだら、「オタク」と「サブカル」の概念規定そのものがあいまいで、残念だった。わたしは「オタク」も「サブカル」も…

菊地成孔 / CDは株券ではない(ぴあ)

この本を読んで、オレンジレンジが少し気になる。まず、オレンジレンジファンの方で、特にパクリ騒動に心を痛めている方が読むといいと思う。あんまり読まなさそうだけど。 この本は一冊丸ごとほとんど何の役にも立たない文章だけど、おもしろい。でも批評と…

佐藤嘉尚 / 「面白半分」の作家たち』(集英社新書)

70年代を象徴する雑誌といわれた雑誌『面白半分』企画者/編集長による回想記。若き日の大御所たちの雰囲気が伝わってきて、おもしろい。とくに開高健を読んでみたいと思った。

嵐山光三郎 / 死ぬための教養(新潮新書)

こんにちの宗教は人間の人生について無力で、救済ではなくむしろ世界に広く破壊や絶望をもたらしているので、ほとんど頼り甲斐がない。それに代わる杖は死、つまり人間の生についての「教養」しかない、というテーゼに従う「教養書」の紹介本。文体は決して…

井上章一 / つくられた桂離宮神話 (講談社学術文庫)

あとがきが良かった。学問の世界の政治性についての告発をすると、「あいつは大人気ない」と言われて、仕事はやりにくくなるのだろうけれど、しかし「本当の学問とは何か」という氏の真摯な姿勢によって、一般読者は惹きつけられるのだろう。

筒井康隆 / 笑犬楼よりの眺望(新潮文庫)

面白かった。『文学部唯野教授』を再読したくなりました。あれは、二年前のちょうど今ごろ、唸りながら笑いながらページを繰っていたのです。解説の岡留安則は魯鈍な塩梅で、しかも無暗に長くて詰まりませんでした。

安野モヨコ / 働きマン (2巻、講談社)

1巻を読んだ時点では、そつなくまとめてるなあ、うまいなあ、という感じだったのだが、まんがとしての展開が出てきておもしろくなってまいりました。世界観の描写→人物詳細へ。仕事の出来ない編集委員が西東京市在住なんてあたりが妙にリアルな感じ。

こうの史代 / 長い道 (双葉社)

恋愛マンガというのは、だいたいにおいてファンタスティックだ。少女マンガをあんまり読んでこなかった身としては、その辺り、迂闊に発言できないのだが、そういったテーゼを了解しつつ、その幻想性を高いレベルで表現しているのが、こうののこの作品だと思…

永江朗 / インタビュー術! (講談社現代新書)

インタビューについてのいろいろの話。とくに第3章がおもしろかった。巻末のブックガイドが参考になる。一部を下記に抜いてみる。 アレックス・ヘイリー『プレイボーイ・インタビューズ』 マルコムX『マルコムX自伝』 スタッズ・ターケル『仕事!』 山際淳司…

第4章 ことばを殺すことばに支配されてどう生きるか 4-2 ことばの出現によって「殺され」た何か

近頃、つまり、2003年のこんにちは「ブロードバンド」時代であるという「言説/扇動」がある。大容量の情報を、インターネットに接続されたコンピュータを通じて入手することが出来れば、あなたの生活がより豊かに、便利なものになりますよ、という「宣伝」が…

第4章 ことばを殺すことばに支配されてどう生きるか 4-1 ダダの批評性について

ミシェル・フーコーは「権力」という概念を提示し、その「権力」を内田樹は「あらゆる水準の人間的活動を分類し、命名し、標準化し、公共の文化財として知のカタログに登録しようとする、「ストック趨向性」」(内田『寝ながら学べる構造主義』 pp.110-111、…

第4章 ことばを殺すことばに支配されてどう生きるか

(右:参考画像) 仲睦まじいフーゴ・バルとエミー・ヘニングス

連載 卒業論文:ふたりのダダイスト 第9回

第1回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050701#p1 第2回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050712#p1 第3回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050714#p1 第4回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050716#p1 第5回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050726#p1 第6回 htt…

金原ひとみ×菊地成孔対談@サイゾー 2005年9月号

id:prseさんの記事を参考に、立ち読みしてきました。 見開き二頁であまり分量はなかった、と今まで思っていたんですが、しかし、二頁ではなく、四頁であったような気がしてきました。菊地成孔はなんだか気弱なグラサン青年風の写真で写っていました。 金原曰…

飯会 with マコト(id:mktz128)氏@立川

さしでの飯会は、約9ヶ月振り。その間に、信州への温泉旅行があったり、同氏の引越し手伝いに参上したり、最近は170(id:oniyome)氏の上京に伴う集いがあった。 なんの拍子か、ペアシートに案内されてしまい、周囲をとりまく彼・彼女たちの目が気になったりも…

第3章 トリスタン・ツァラについて 3-3 ツァラの作品

さて、チューリヒでのバルとの出会いや、彼の詩作の変遷を差し置いて、ツァラの人生において最も注目したいのは、1921年のバレス裁判の記録である。これは、文学的/政治的転向を果たした作家モーリス・バレスを、ブルジョア的、旧体制的、権力的な仮想敵とし…

第3章 トリスタン・ツァラについて

(右:参考画像)左からジャック・リゴー、トリスタン・ツァラ、アンドレ・ブルトン (1921年 撮影:マン・レイ)

連載 卒業論文:ふたりのダダイスト 第8回

第1回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050701#p1 第2回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050712#p1 第3回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050714#p1 第4回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050716#p1 第5回 http://d.hatena.ne.jp/utubo/20050726#p1 第6回 htt…

親父の本棚 その1

あまりに暑くて、金がなく、暇だったので、父の書斎へ忍び込んで、写真を10枚ほど撮って参りました。それをここへ載っけてしまおうという算段です。 辻邦生、景山民夫、島尾敏雄、埴谷雄高、犬養道子、啄木詩集(かなり古い)なんかが見えますね。辻氏の本は…

八代目林家正蔵 / 山崎屋、中村仲蔵

CD

前は商売人が花魁を見受けするため一芝居打つ話で、後は、売れない役者が雨宿りに入ったそば屋で演技の着想を得て成功するという話。 落語は先に母方の祖父が亡くなってから、遺品のテープを聴き始めて、興味を持ったもので、まだまだ善し悪しが分かるかどう…

知るを楽しむ 私のこだわり人物伝 −向田邦子〜女と男の情景−(教育テレビ)

TV

案内役は太田光(爆笑問題)。おかしな時間に昼寝してしまったので、結局、午前2時過ぎから4時近くまで全4回の再放送を見てしまった。向田邦子を読んでみたくなった。

野村芳太郎監督 / 砂の器

原作、松本清張。加藤剛が将来を嘱望される若手作曲家役なのだが、実に若い!最初誰だかわからなかった。音楽、芥川也寸志。但し、劇中で加藤が書き上げてリサイタルに臨む「宿命」というピアノコンチェルトは菅野光亮という作曲家が書いているようです。「…

丸山圭三郎 / 言葉と無意識 (講談社現代新書)

第2章〜3章でソシュールの生涯に絡めて、欧州における言語観の変遷(契約、真理の黙示としての神学的「言語」観→梵語発見に伴う科学的「言語」観/自然主義的な決定論的「言語」観→科学的経験主義的「言語」観)が語られて、これは面白かったが、彼が晩年熱中…

電車男 第6回(CX)

TV

何回か見逃していたのだけれど、伊東美咲が歩くお人形さんのようで、何か不幸を呼び込みそうな美しさだな〜と思いました。 しかし、ファンタスティックに過ぎるんじゃないかな、ト。だんだん飽きてきた、ト。 次回は脱オタの回らしいです。 オタを許容しつつ…

美輪明宏 / 愛の話 幸福の話 (集英社)

いまや妖怪のような面構えの美輪だが、若いころの写真には、背筋をゾクッとさせるような怪しい美しさがあり、なるほどこれでは男性にも愛されるわけだ、と得心した。 筆者の、人生/生活を通して得た、経験、教訓といったものを独特の言葉遣いで運んでいく随…