2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧
陰鬱なあかるさに、優雅な退屈さが上質に定着された物語。人間としての天皇を演じるイッセー尾形をユーモアをまじえて神話的に描き、その苦悩と屈辱とを映像美と禁欲的な演出からエレガンスの域にまで高めている。敗戦を目前に控え、海洋生物学者として学問…
「靖国」をめぐる各国のひとびとを、靖国刀最後の鍛冶職人を中心に描く意欲作。しかしながら予算の問題か、編集素材の問題か不明だが、昭和帝と先の大戦のニュース映像などを適当につなぎあわせた後半20分がひどく、失望するは必定。目の付け所も悪くないし…
アガサ・クリスティによる戯曲『検察側の証人』の映画化。邦題があまりよくない。せいぜい「女証人」とでもすべきだったのでは。とにかくチャールズ・ロートン演じる老弁護士とエルザ・ランチェスター演じる看護婦のやりとりが楽しい。皮肉の効いたセリフの数…
オリエント急行の開通記念列車は1883年10月4日夜にパリ・ストラスブール駅(現パリ東駅)を発車し、6日かけてコンスタンティノープル(イスタンブル)に到着した。経路はパリ(フランス) - シュトラスブルグ(ドイツ帝国、現ストラスブール) - ミュンヘン …
最近、1970年代から80年代にかけての日本の劇伴音楽(おもにテレビドラマ)について気ままに探求しているのだが、YouTubeでおもしろものさがしをしているとついつい脱線してしまう。きょうもなぜか気づいたら、忍者ハットリくんの主題歌聞き比べにすっかりは…
ゴージャスネスという点ではシドニー・ルメットの『オリエント急行殺人事件』に軍配が上がるけれど、エジプトロケが功を奏しているなあ。ベティ・デイビスとマギー・スミスのコンビが楽しすぎるのと、連続殺人が起こってもなおピーター・ユスティノフ(ポワ…
プロットには突っ込みどころありまくりなのだけれど、オールドファッションな推理物が観たかったので満足。本作は石川県を主な舞台として進行するが、映画では石川をいささかステレオタイプに描き過ぎているだろう。が、時代を鑑みればそれは仕方ないとも言…
北村想の原作から改作しすぎだが、がんばってた。世界観には突っ込みどころありまくりなんだけども。仲村トオルの衣装がいちいちかっこよすぎ。衣装センスいいね。安易なハッピーエンドにしないところから、監督の乱歩に対するリスペクトが伝わってきた。平…