草森紳一 / 随筆 本が崩れる (文春新書)

随筆 本が崩れる (文春新書)


 同時期に立花隆ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫)』を読んでいたのだが(まだ読み終えていない)、その中で、氏は大量の蔵書をいかに収納するかに頭を悩ませ、結果、収納場所兼仕事場を備えたビルを建ててしまうのだ。
 対して、草森の蔵書は和綴の古いものが多かったりし、また立花のような甲斐性と合理精神は無くて、脱衣所の入り口を崩れ落ちた本が邪魔をして、狭いアパートメントの脱衣所で独り死ぬんではないかと恐怖を感じたりするのである。また999段あるという階段を、やはり死の恐怖を覚えながら、ぐいぐい上っていったりするさまが印象的。本と老い