映画美学校/音楽美学講座 特別公開講義:菊地成孔によるポリリズム分析講義@水道橋・アテネフランセ


  • mono(単)/poly(複)
  • 律動構造のpoly=polyrhythm
  • ポリリズム/ポリトーナリティー
  • 「モノ」リズムは存在しない、というテーゼ
  • モノトーン/モノラル
  • 中世〜近代西洋:「モノ」概念の発達/「調整」はひとつ/「モノ」リズムの顔つきをしたリズム(ex. 4/4,3/3,6/8)
  • chaos→monority/単一の秩序...秩序好きのヨーロッパ人
  • 秩序/抑圧、意識/無意識(二元論という制度)
  • 「意識」を「モノ」とする/「無意識」を「ポリ」とする
  • 「秩序」という幻想
  • 複数秩序を単線的に叙述すると「訛り」が生まれる
  • 「モノ」が「ポリ」を内包している/すべてが「ポリ」である


  • ポリリズムという概念
    • ポリリズミックな(リズム)フィギュア...新しい「リズム」として提出されたもの(ティポグラフィカや、DCPRGなど/ダンス音楽に特化)
    • 訛り...ポリとわからない汎用的なリズム(記譜できない/記譜できるものが「訛り」)
    • ポリリズムは完全なアフリカ由来ではない
    • モノリズムが幻想である以上、あらゆるリズムが必ず訛る
    • テクノ音楽...打ち込み(デジタル化)でリズムが完全に訛らない可能性が生まれたという面では画期的。実際には恣意的に「訛り」を作れる。



  • 訛り...モノリズムからの解放
    • マルチポリリズム...全員が別のリズム(リズムの中心がない、ex. DCPRG / Catch 22)
    • ポリリズム...複層的なリズム...整数で割り切れる/割り切れないリズムも底で繋がっている/「分離」と「移動」
      • 整数で割り切れるポリリズム
        • いわゆるアフロポリリズム(同一時間軸で、3拍子と4拍子)
        • 相手の出すリズムを聴きながら演奏する
      • 整数で割り切れないポリリズム(ファッションショーの音楽とモデルの歩くリズム・意図されないポリリズム
        • 疎外しているのはモラル。「え、いいの、これで?」「良いんだよ俺はこれがやりたいんだ」と思って演奏する(ex.菊地『デギュスタシオン・ア・ジャズ』)
        • 「不倫」を厭わずに、マイペースで相手を無視し続ける必要があるが、ダレてはいけない(リズムキープ)
        • 白人や黄色人種...黒人的ポリリズム「無視」の文化/エレガンス/超然


  • アフロポリリズム(3/4,4/4が同一時間軸で進行)を採用したミュージシャン
  • 近似値=錯聴
  • 5分割/7分割
  • 対位法/ズレのちから



reference:菊地成孔大谷能生憂鬱と官能を教えた学校』、第10講:律動2(pp275-301)