ティム・バートン監督 / スリーピー・ホロウ
18世紀末のニューヨーク州を舞台にした首なし騎士の伝説を描く、と見せかけて女による男への復讐の物語ではないだろうか。美術やライティング、撮影などの独特な美的感覚にみなぎる作品。
オリバー・ストーン監督 / JFK
ケネディ暗殺を、ジョンソン副大統領を頂点とした不定形な人的ネットワークによって謀られた物語として描いている。冒頭にアイゼンハワーの退任演説が引用されるが、米国の軍産複合体の問題は21世紀のこんにちもなお引き継がれているので古びていない。またケネディの理想が失敗したことから考えると、時代が違えども、オバマや未来の米国大統領がどういった成功を求めて、どう行動するかを推し量れる部分もあるので考えさせられる。米国が基本的に世界の戦争と紛争への軍事介入を止め(られ)ない構造にあることを示唆する骨太さが好ましい。後半の法廷での長口舌や検察チーム内の人的葛藤の執拗な描写が、よくできたエンタテインメントの枠を越えてほとばしる迫力に満ちた傑作。