2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧
作中における「児童会長選挙における小学生の事前運動」というイベントは実にファンタスティックである。 わたしが小学生の時分も、児童会長選挙があって、友人が立候補して当選したのをぼんやり覚えているのだが、いったい彼らがどんなことを主張して、当選…
作中に登場する穴居生活の民「土ぐも族」は、記紀や風土記にも登場する反体制勢力(土蜘蛛)であり、能や歌舞伎の演目にもなっている。彼らは、天皇家の祖とされる天孫族の支配に対して抵抗した先住民であったらしい。その生き残りのコミュニティに、三人組…
ヒトラーのレイシズムに影響を与えたディートリヒ・エッカルトを論じたり、文学青年ゲッベルスが、文学に挫折した後にナチズムに向かう過程が描かれている。また、オーバーザルツブルクという「場」が、ヒトラーに与えた精神的影響にも触れている。世俗宗教…
捨てライオンに片足を奪われた老人とモーちゃんが出くわすあたりから盛り上がる。
小説の登場人物の名前まで覚えていることはあまりないものだけど、この作品に出てくる北里真智子は「虚言癖のある美少女」というキャラクターと共に印象深い。
映画の筋書きは取るに足りないロマンスで、プロットは貧弱極まりなく退屈ですが、アステアのダンスと、音楽がすばらしいのです。コーラスガールが24人出てきて、顔面黒塗りのアステアを加えてジャングルダンスをするシーンが白眉。
戦争をするには金が要る。しかし、日露戦争開戦前、欧米において、日本は国としての信用度がまだまだ低かったから、外国(の投資家)へ借金するのはたいへんだった。高橋是清を主として、当時の財務関係者は戦費調達のため東奔西走した。それを助けたユダヤ…
タイムスリップと江戸時代が組み合わさって、小学生男子に好まれそうな作品である。美人の音楽教師がバルトークの練習曲を弾いているという描写が、今読むと印象的。これを初めて読んだころ、ベートーベンという名前は知っていたが、バルトークは知らなかっ…
作者の探偵小説趣味はすでにシリーズ2作目であらわれている。ズッコケシリーズ以外にも探偵物が多いのでファンには良く知られているところだろう。
14,5年前に初めて読んで以来、改めて読んでいなかったシリーズ第1作。キャラクターそれぞれへの呼び掛け方が一定しないあたりいかにも第1作らしい。雑誌『6年の学習』(昭和51年、学研)に「ずっこけ三銃士」の題で連載されたものが収録されている。
とても久しぶりに読んだので、初めて読んだような気分がした。拘束された犯人の長々とした独白を読んでいて感じたが、ホームズシリーズでは作品のプロットと舞台(叙景描写)のマッチングがうまくいっているものが多いような気がする。が、ではほかに探偵小…
村上の文章がいつになく脱力している傾向が特徴。サハリン訪問記がなかなか興味深かった。ロシヤでも彼の作品は読まれているらしく、ロシヤ人の翻訳者も登場して、サハリンツアーをガイドする。
甲州の名士の家に生まれ、若いころから叔父の網野を含む多くの親族の中で、アカデミックな会話を重ねて育った著者をうらやましく思った。いわゆる「網野史学」への入門の1冊として良いだろう。
京王線の蘆花公園駅から歩いて10分ほどのところに、世田谷文学館はある。駅を降りてみて、数年前大学生だった頃に、文学館に近い場所にある老人ホームを訪れたことを思い出した。施設にはとても金がかかっていて、入居しているお年寄りが、元大学教授だとか…
10数年ぶりに読んだので、ほとんど筋を忘れていた。第二部は叙景的な描写も含めとくに読み応えがある。
ロシヤの海軍武官が自衛隊員から機密情報を奪い取った事件を通して、日本の防諜体制や警察に対する批評を行う1冊。ソ連崩壊を挟んでも諜報活動が続いているというのがなかなかおもしろかった。
「百姓イコール稲作民でない」というテーゼから、日本の歴史を大きく捉えなおすことが出来ると主張する1冊。 中世から近世にかけて僧侶や山伏が金融業や貿易に携わっていたという事実もさることながら、儒教思想とマルクス主義史学に共通する「農民」観があ…
社会主義を信じ熱心に活動していた母が病に倒れている間に、東西ドイツが統一してしまう。息子は、意識を回復した母に精神的ショックを与えぬよう東ドイツが存続しているかのように振る舞い、嘘を貫き通す。「西ドイツの難民が東ドイツに流入している」とい…
名古屋からやって来たGUIROのライブを観てきた。最初は特にボーカルが不安定だったけど、後半はなかなか良かった。ジャジーなピアノと、ボサ的なメロディと複雑なリズムで構成された技巧的な曲が多かった。演奏するのがとても難しそうな曲ばかりだ。ボーカル…
第4章 (「唱歌注解」全アジアの女性たちよ)がとりわけおもしろい。散文もあるが、詩人としての非凡なセンスを感じさせる1冊。
カネのやりくりに困りつつも、浮世離れした古本屋亭主の姿が見えてくる。目録作りに日々を費やし、夜はビール。こういう生き方もあるのだな、と思う。なにがいったいしあわせか、というのはなかなかむつかしいもんだいであります。
会場の九段会館は昭和9(1934)年につくられたもので、独特の雰囲気を感じさせる。からだ(建物)は西洋風で、あたま(屋根)が城郭風。「もしかしてこれが和魂洋才ってことか?分かり易すぎる」と思いつつ入場。 座席は1階席のPA卓に近い位置で、1曲目では音…
民俗学入門のような内容かな、と手に取ってみたら、最初の部分で、柳田國男や折口信夫に触れてはいるものの、著者の研究対象についての記述が半分くらいを占めていた。 「都市の心性」という文句が定義されることなく、何度も何度も出てくるので、学者の割に…
雑誌といってもいろいろあるが著者によって「男性誌」と思われる雑誌について、いろいろと粗を探してつっこむ随筆集。軽く読めてしまうが、資料を読み込むのがなかなか大変で手間がかかりそうな仕事だな、と思った。 しかし、筆者のつっこみは執拗なきらいも…
昭和初期に日本の英字新聞記者として活躍したバートン・クレーンが遺したあやしいジャズ・ソングのコレクション。東北で何度も飢饉があったり、満洲事変が起きたりする世相の中、酒やおなごについてばかり歌っている。どこか頽廃的な匂いもあって、音楽に浮…
歴史好きにはチャンドラ・ボースは比較的有名だが、ラース・ビハリ・ボースの名前は知るひとぞ知る、というところかもしれない。 大東亜戦争中に日本のナショナリストと交流し、日本人の妻と結婚し、日本に帰化したインド独立運動家、ラース・ビハリ・ボース…
午後7時前より、新宿はやんばるで飲んで食べる。久しぶりに食べ過ぎ。主な話題はマコト氏の近況やインド独立運動、大阪行思案など。2時間ほどのちに、クラシック喫茶らんぶるへ移動。閉店まで語らう。同氏の亡き父上の話など伺う。