「pieces of harry hawson vol.1」

compiled at 16-19, Feb., 2003


01. シャンバラ通信 / 細野晴臣 (1978)


 アルバム「はらいそ」より。コンピのオープニングにふさわしい曲はこれかな、と思って選曲。はっぴいえんどの「無風状態」につなげたかったけど、収録時間の関係上はっぴいえんど時代のものはカットしました。好インスト。


02. 冬越え / 細野晴臣 (1973)


 アルバム「HOSONO HOUSE」収録曲。これは2000年にリワインドから出た、「HOSONO BOX 1969-2000」からのライブテイク。細野さんがアコギで弾き語りしているヴァージョン。音はそんなに良くないけど雰囲気で選曲。


03. CHATANOOGA CHOO CHOO / 細野晴臣 (1975)


 アルバム「トロピカル・ダンディー」より。グレン・ミラー楽団の演奏で有名。細野のカバーはラテンの歌姫、カルメンミランダのヴァージョンを下敷きにしている。歌詞はポルトガル語、英語、日本語で歌われてよい感じ。


04. Pom Pom 蒸気 / 細野晴臣 (1976)


 アルバム「泰安洋行」より。3曲目の汽車の歌(CHOO CHOOは英語の赤ちゃん言葉で汽車の意)に対抗して蒸気船の歌を。軽快なリズムと他愛のない歌詞が楽しい。演奏時間は短いけど、実に濃密なブギウギ。スチールギターが印象的なナンバー。


05. 灰色の段階 / YMO (1981)


 「テクノデリック」より。本当は「BGM」から「CUE」を入れようかなと思ったけれど、幸宏のヴォーカルが気分じゃなかったので、こっちにしました。暗いよね。暗いね。灰色だし。でもまあこれに同調するですよ。ちょうど先が見えない感じだから。


06. LOTUS LOVE / YMO (1983)


 「浮気なぼくら」より。「浮気なぼくら」は不憫なアルバムなのかなあ、と最近思っていて。そんなことはないのだが、「君に、胸キュン。」だけじゃないんだよな、こんな良い曲も入っているのだぞ、と言いたいわけです。細野さん久々に屈託なく歌ってるしね。YMO解消が決まってつくづく嬉しそうです。


07. THE MADMEN / YMO (1983)


 「サーヴィス」より。今回のSMH(ソニーミュージックハウス)からの再発で「サーヴィス」の良さに気づいた人は多いのではないかと思うのです。ええと今、気分なのではないかな、と。確かに三宅裕司率いるパッとしないギャグが間に挟んであって構成的には問題あるアルバムです。なんてグタグタ言わずに、ハリーのチョッパーにのた打ち回りやがれこの野郎!インスパイアド・バイ・諸星大二郎。いうまでもないですかそうですか。


08. BODY SNATCHERS / 細野晴臣 (1984)


 アルバム「S-F-X」より。YMO以後の細野ワークス(とくに80年代)から選曲するのはファンならば誰しも骨の折れる作業だと思います。モナド、ノンスタのいわゆるテイチク時代の作品は一般的な認知は低いけれども、1曲1曲に思い入れが強く、また個性的かつ独創的な作品ばかり。コンピレーションの性格上、選曲があまりひとりよがりでもいけないような気がしたり。この曲が映画「SF/ボディー・スナッチャーズ」(同名映画が3本存在しますが、たぶんフィリップ・カウフマンの'78年作品)にインスパイアされてできたということはファンであればみな知っていることでしょうか。F.O.E.の前哨戦的=攻撃的な音になっています。


09. STRANGE LOVE / 細野晴臣 (1984)


 アルバム「S-F-X」より。細野さんの30年以上にわたるキャリアを60分強の1枚のディスクに収めようとすることがそもそも無謀な試みなのですが、結局F.O.E.はどうしても過渡期的な印象が拭えずコンピの収まりを選んで、「S-F-X」からもう1曲選んでみました。この曲もまた映画「博士の異常な愛情」(スタンリー・キューブリック監督)にインスパイアされてできたということです。


10. 火の化石 / 細野晴臣 (1985)


 アルバム「マーキュリック・ダンス」より。英題は「FOSSIL OF FLAME」。結局モナド仕事からの選曲はこの1曲になりました。アルバムは4枚あるんだけど、やはり初心者にはこの曲を聴いて欲しいかな、と思って選曲。この前の曲までのポップスの枠組から外れた楽曲が登場するので、静かな驚きがもたらされます。細野さんの先駆性は言うまでもないですが、これすでにエレクトロニカだし音響派じゃない?(笑)。モナド作品は凄いです。


11. DAWN / LOVE,PEACE AND TRANCE (1994)


 アルバム「ラブ、ピース アンド トランス」より。この作品自体は、甲田益也子小川美潮遊佐未森という個性豊かな女性歌手をフィーチュアした歌ものアルバムですが、ここではなにか漠とした希望を感じさせるインストを選曲してみました。タイトルも「夜明け」の意味なので、次の曲へのつながりも○?


13. Good Morning, Mr.Echo / swing slow (1996)


 アルバム「スウィング・スロー」より。この曲はマーガレット・ホワイティングの歌唱で知られています。アルバムに対しての細野さんの発言というのは「この時はポップスをやっていたけど、まだ心はアンビエントにいた」(大意)というもので、確かにアルバム自体、実に歌ものと音のコラージュを併せて出来たふしぎな絵巻物のような作品でした。ハリー寵愛の人コシミハルとのデュエットというのも、かなりすばらしくて、スウィングスロウまたやってくれないかなーと密かに期待しているのですが…。


14. パープルヘイズ音頭 / HIS (1991)


 アルバム「日本の人」より。音頭物といえば、大瀧詠一を忘れては成りませんが、細野さんが自身のプロジェクトでかなり歌謡曲に接近したのはこれが最初で最後かしらん。おそらく忌野清志郎坂本冬美、とくに坂本のコブシにインスパイアされてこのアルバムは完成したのだと思いますが、なかでもこのジミ・ヘンドリクスの名曲のカバーは実に愉快。


15. Flowers / Tin Pan (2000)


 アルバム「ティン・パン」より。リワインドからリリースされていたので、もう廃盤ですか。リリースから3年経って手に入らないってどゆこと?と思います。でも細野さんを追っかけるとそういうこと多いですね。遅れてきたファンのみならず新譜を買い忘れるとあっという間に中古屋巡りを余儀なくされます。これは林立夫鈴木茂と結成した、ティンパンの名インスト。お孫さんの誕生日にできた曲だとか。肩の力の抜けた独特のグルーヴが良いです。ギター!


16. Turn Turn / SKETCH SHOW (2002)


 アルバム「オーディオ・スポンジ」より。ファンに衝撃を与えたカッティングエッジ/エイベックスへ、ディストリビューターが変わって。出てみたらホイ!え?FUTARI THE TECHNO?いやYMOっぽいっちゃあYMOっぽいんですけど、何だろな、テクノな歌ものです結局。スライ風味。新しいぜベイべー!って叫ぶほど昂奮はしないけど、でもやっぱりいいよね、みたいな感じ。高橋幸宏とタッグ組んでます。


17. プリオシーヌ / 細野晴臣 (1989)


 アルバム「オムニ・サイト・シーイング」より。細野ファンなら嫌いなものはいないだろう的な名曲で、静かな大団円を迎えます。ボーカルは近年逝去された福澤もろ氏。細野さんとはスピリチュアルフレンドとでも言って良いのかな。かなり内面的な共鳴があったよう
です。元々はCMの為に作られた曲で、それがアニメ映画「銀河鉄道の夜」の中で使われて、さらにここまで来た。これは楽曲の使いまわしというよりは細野さん自身、実に気に入っていた、こだわりのモチーフだったのではないだろうかと思います。もう、涅槃はすぐそこです…。