ほうろうナイト

昨年の師走は30日の忘年会(於風街まろん邸)で、ぼくが体調不良により
大いにゲゲゲの鬼太郎と化してしまったので、今日はわざわざご好意に
より、再度リベンジ鍋と称して、HIKB邸にて、鶏鍋会をセッティングして頂いた。
まことに頼もしきお兄様(という表現もどうかと思われるが)。ありがたい
ものである。いや、ホントに。もうここんとこ人の縁のありがたみを噛み
締めてばかりの毎日。マジで!マジで!なんだか毎日せつないくらいである。


というわけで、会場の江古田に向かう前に、所沢で途中下車して、書店を
3軒ほど回る。「レコードコレクターズ」誌の最新号がソニーYMO再発に
合わせた入魂のYMO特集(今村健一と湯浅学のテキストがよい、とは昨日の
まろんさんの評)と聞いて回ってみたのだが、どこにも置いていない。
先月出たボブ・ディラン、ローリング・サンダー・レビュー特集号はあった。
田舎はこれだから嫌だ。などと呟きながら、藤子不二雄A「きえる快速車」を
購入して車内で読み耽りつつ、待ち合わせの江古田駅南口へ。ガタンゴトン。


まろんさんが遅れていらした。訊いてみれば「いやー家から保谷の駅まで
迷っちゃってさ。君のこと言えんなあ(苦笑)」だって、まろんさん超キュート。
最高!(笑)。ふたりでファミリーマートに寄って、カップラーメンやら卵やら
氷を買いつつ、HIKB邸へ。HIKBさんとご友人のREDHAWKさんがいらっしゃった。
このメンツでご飯を食べるのは、約7ヶ月ぶり。なんとなく、懐かしい感じだ。


駆け足で、今日かかった音楽を紹介すると、小生は自作の戦前ジャズのコンピ
(曲目はこんどサイトにでも載せてみます)、カーペンターズの「涙の乗車券」
(このアルバムは本当にすばらしいと思う)、定番になったDCPRGのライブ盤など。
まろんさんはイタリアの端整なプログレ(ジャンル越境的なふしぎな作品)、
マーヴィン・ゲイ、先日のDJの拾遺集的なファンクセレクション。HIKBさんは、
謎のホーメイ・ブルーズ、ドイツのエレクトロニカ鈴木惣一朗伯父が作った
ボーカルポップス作品、ワールドスタンダード「ALLO!」など。


今回、主に話題のタネとなったのは、音楽ではなくアニメ作品だった。HIKBさんの
千と千尋の神隠し」のDVDは確かに、劇場で観た画よりずっと赤かった(笑)。
あとは、ぼくがビデオ1本で挫折した「カウボーイ・ビバップ」(この作品は
非常に音楽がかっこいいです・全篇菅野よう子仕事)の「マッシュルーム・サンバ」。
特筆すべきは、まろんさんのお持ちになった、「おジャ魔女どれみドッカ〜ン!」の
2話。細田守という東映アニメーション所属の演出家の作によるもので、抑制的
かつ独自の美感が静謐に漂うとても少女アニメとは思えない、作家性の強い作品。
背景美術の美しさ、俳句的な情景による心情描写、小学6年生なのに授業のシーン
では、なぜか梶井基次郎の「檸檬」や宮澤賢治「オツベルの象」が挿入されるという(笑)
もう驚きを禁じえない作品。アニメにはてんで疎い小生も画面に食い入るように
して見てしまった。それにしても、あのガラス工芸の回(笑)は良かったなあ。
小さなお友達は完全に置いてきぼりだけど、こういうものがテレビの電波に
乗っているのかと思うと、なんともいえぬ愉快な気分に。どんな分野にも才気だつ
作家とはいるものなのだなーと思ったり。希有な体験をいたしました。


帰りは途中までまろんさんと一緒に。相向き合いのシートに座っている男性が
一心不乱に例の雑誌のYMO特集を読み耽っていたのが面白かった。所沢の駅で、
ぼんやり電車を待っていると、どこかで見覚えがある人が電車から降りてぼくの
前を通りすぎていった。なんと小坂忠!いやびっくり。ちょっとお疲れのような
表情だった。そう、忠さんは所沢市民なんだもんな、などと頷きつつ、まったく
予期し得ぬ遭遇に胸をドキドキさせつつ、ポータブルCDでニコライ・カプース
ティンの「ピアノソナタ幻想」を聴きつつ、午前零時半帰宅。楽しい一日だった。