倒置ソング

風街まろん邸は武蔵野の外れ、閑静な住宅街にある。

「コンコン」
「は〜い」
ウツボです」
「はいはい」
「いやあ、遅くなりまして」
「いやいやこんなもんでしょ」
「暖かいですねえ」
「煮炊きすると、ずいぶん違うもんだね」
「暖かいなあ」
「ほら、こっちとはずいぶん違うでしょ」
「ああ、ホントだ」
「これがあるからねえ」
「そのカーテン、どうですか?」
「うん、これあるだけでずいぶん違うものだよ」

****

♪ESTHER PHILIPPS WITH BECK/FOR ALL WE KNOW('75)

「これ、凄く個性的なヴォーカルですね」
「そうなの。なんか豊かな感じでしょ」
「これが300円(笑)。弦が凄いですね」
「凄いね(笑)。CTIって感じだね」
「なんで弦が入るとイージーリスニングに聞こえるのかなあ」
「なんでだろうねえ」
「凄く豊かな時代の音に聞こえますね。お金もある感じ」

YMO読本「OMOYDE」(ソニーミュージックハウス)

「これこの間出た再発CD5枚買うとくれるんですよ」
「へえ、いいなあ」
「でも初回盤じゃなくちゃダメなの。紙ジャケで」
「なんか教授が良い感じだなあ」
「うん、読み応えありますよ」
「そしてまたYMOのベストが出るらしい、教授監修で」
「もう、買わなくてもイイでしょう(笑)」
「そうですねえ」

♪AVERAGE WHITE BAND/SAME('74)

「これメンバー全員白人?」
「そうなの。全員、イギリスの白人なんだよ(笑)」
「凄いですね。でもクールな感じが」
「うん、曲解がない分ダイレクトな感じがするよね」
「凄く盛り上がるって感じじゃないね(笑)」
「きっとメンバーはみんなオタクだったんじゃないかな」
「黒人音楽マニアで?」
「そうそう。凄く楽しそうだよね」

♪THE LOVE UNLIMITED ORCHESTRA/WHITE GOLD('74)

バリー・ホワイトかあ。名前は聞いたことある」
「とても有名な人ですよ。ジャケがね…」
「凄いなあ。こういうゴールド趣味ってわかりやすいなあ」
「そうだね。黒人っぽいよね。ゴールドと女、みたいな(笑)」
「ヒップホップまで脈々と流れてる文化ですよね」
「どうよ、この感じ(笑)」
「凄い深夜感ですね。アーバン・ナイト(笑)」
「1曲目はストレートにチーク・タイムな感じだよね」

JAMES TAYLOR/ONE MAN DOG('72)

「ジャケ見せてください」
「はい、どうぞ」
「ああ、これ、これ、聴いたことあるかも」
「全然フォークではないんだよね、このアルバム」
「ああ、これ聴いたことある!昔図書館で借りました(笑)」
「この押しつけがましくない感じが、好ましい」
「ああ、いいですねえ。非常に休日感溢れてますね」
「そうかい?」
「うん、リラックスしますよ、この音は」

★夕食

「う、これはなんですか?しいたけ?」
「いや、しめじだね」
「うーん、凄くコクがありますねえ」
「それはね、にんじんを擦り下ろしてるの」
「にんじん!!どのくらいですか?」
「1本弱くらいかな。ふたりぶんだからね」
「トマトは?」
「缶ひとつぶんだね。1人前だったら半分」
「このサラダもうまいですねえ。優しい味」
「へへへへ」
「ゴマが効いてるなあ。まろんさん特製ソースですね」
「いやあ、ははは」

本日の献立:スパゲティミートソース、蒸し鶏と大根の
胡麻ソースサラダ、 舞茸と豆腐、葱の中華スープ、ほうじ茶。

松浦亜弥/YOKOHAMA SING A SONG ('03)

つんくは、たまにイイ曲書くんですよ」
「ほお」
「これはね、ジャズっぽいからぼくは好きなんだな」
「でもアレンジャー任せなわけでしょ、つんくは?」
「うん、良くわからないけど」
ハロプロものはね、厳しいですよ、ずっと聴いてると」
「そんな感じするね」
「松浦でもね、曲によっては厳しい(笑)」

ソニン/津軽海峡の女('02)

ソニンはね、サウンドとしては一番イイかも」
「うん、これはこれでなかなかですよ」
「詞がまた凄いんだ」
「うん、ドキュメントな感じでね」
ソニンは名誉ハロプロなんですよね」
「そんなのあるの?」
「なんか事務所が違うらしい。レコード会社も違うし」
「へえ」
「基本的にバンドサウンドなんだよな」

♪Softcore/Softcore('94)

「これは94年なんですけど」
「ああ、なかなかイイ感じだね。好きですよ」
「アトム・ハートの変名プロジェクトで」
「ふうん。ミニマルテクノだね」
「うん。地味で暗いんだけど、なんか楽しいんだよな」

♪WORLD STANDARD/DOUBLE HAPPINESS('86)

「これはいいですよ」
「ああ、ダンサブルなんだね。商売的な理由かな?(笑)」
「今聴いても新鮮ですよね」
「そうかな。時代な感じがするよ、やっぱり」
「……」

黒田硫黄セクシー・ボイス・アンド・ロボ#2」(小学館

「わ!」
「これが例の2巻でーす。本日発売!」
「ひえー」
「(笑)」
「読みたい読みたい、でも読むまい。明日買おう」
「(笑)」

SPANK HAPPY/MY NAME IS ('94)

旧スパンクスです。ギターに注目!」
「ギターキター!(笑)」
「ギター凄いんだよな」
「この頃はミュージシャンシップあるね(笑)」
「菊地さんは痙攣サックスですね。変わらないね(笑)」
「一生懸命作ってる感じがする」
「うん。でも、売れなかったんだろうなあ」
「忘れたい過去なんだろうね」
「でも、なんでスパンク・ハッピーって同じ名前でやってるのかな?」
「それは90年代へのリベンジ、ってことなんじゃないの」
「そうか」
「単にスパンク・ハッピーっていうことばのひびきが好きなのかもね」

****

「あれー?」
「またフリーズしたよお」
「ネットに繋いだ状態でもダメですか」
「ダメだなあ。聴けないじゃん、『トロニカ』」
「(苦笑)」
「もうほんとに、純粋CDにしてほしいよ」
「これを機会にまろんさんもニュー・マックを」
「ニュー・マックねえ(笑)」
「あとはプレイヤー買っちゃう手もありますよ」
「プレイヤーはあるんだけど、修理しなくちゃなあ」
「スケショーの『オーディオ・スポンジ』は聴けたんですか?」
「うん、あれは聴けたんだけどね」
「おっかしいなあ」
「まいったなあ、こりゃ。どうするかね」

午後11時過ぎに、辞去。帰宅は午前零時半過ぎ。