八代目林家正蔵 / 山崎屋、中村仲蔵



 前は商売人が花魁を見受けするため一芝居打つ話で、後は、売れない役者が雨宿りに入ったそば屋で演技の着想を得て成功するという話。


 落語は先に母方の祖父が亡くなってから、遺品のテープを聴き始めて、興味を持ったもので、まだまだ善し悪しが分かるかどうかおぼつかない。ただ、言えそうなことがないわけでは無くて、それはかつての落語家は、人気歌手のようにその唄い振りでも客を呼んだのだろうと、いうこと。落語は聞いている間、始終笑わせようとする芸ではないから「聞かせる」「唸らせる」声の妙が必要なのだ。ひとは一度聞いたことのある話だと、時折ぼんやりする。ところが、ある時ひょいっと、声の妙味に引き寄せられて、話へ戻っていく。「話芸」の奥深さの一端を垣間見れたような気分になった。