南博 / Like Someone In Love

Like Someone In Love


脳みそに憂鬱を湛えながら近所のうまい豆腐屋へ駆け足で出かけていくようなアルバム。しかしそう喩えると豆腐屋が家からちと遠い。とこれは最初に聴いた日の感想。憂鬱だったのは、己があんぽんたん頭脳であった。


どこか駿馬のひづめの響きや逞しいたてがみに触れるかのような音楽。べースがとてもきれいなやさしい音で録れている。中域が甘くもなく尖ってもおらずしかし確かに主張しているのが良い塩梅。アルバムのライナーノートでない菊地成孔による架橋的ライナーノートは疾走感/書き飛ばし感を読者/リスナーに合わせ飲ます、絶妙な気付け薬のようだ。