石切剣箭神社




石切商店街 入り口


闇市臭を色濃く遺す在日韓国/朝鮮人による商店街が形成される近鉄鶴橋駅から、奈良行きの特急に乗ると15分足らずで石切駅につく。東大阪市に属する石切はふしぎな町である。駅を降りてしばらく大阪方面へ向かって歩くとやがて石切神社への入口が見えてくる。ここは商店街を兼ねていて、道の両脇は商店や呪いや占い師の店店が続く。よく観ると新宗教の類も占いの館を装って存在するので、注意が必要ではある。正式な参道ではなく、おそらく脇道的なこの商店街には、なんともいえないおもしろさがある。東京で言えば巣鴨に似ているというひともいるようだが、わたしは巣鴨を訪ねたことがないので何ともいえない。とにかく枯れたあんばいとひとびとの欲や祈りがちょうど良い配合でブレンドされた雰囲気ではあるといえるだろう。


 
下之社(現在の本社)


石切神社は『延喜式』(927年)にその名が登場するということで、それが事実であればすでに10世紀ほどの歴史を伝える古社ではあるが、ほんとうかどうかはよく分からない。しかし平日に訪れたにもかかわらず、ひとびとは熱心に百度参りをしている。由緒はともあれ、民間信仰の場として生きていることを確かに感じさせられた。下之社(現在の本社)へは駅から坂を下っていくのだが、上之社(上ノ宮)へ向かうには、一度商店街の入り口まで戻って坂を上る必要がある。それなりの賑わいを見せる下之社と比べるとこちらはひっそりと静まり返っている。



上之社(上ノ宮)