町田

 夕刻、まろんさんと町田駅で待ち合わせてコウリョウ邸へ。前回、サタデー・イブニング・ポストのレコーディングに遊びに行ったとき、彼は「アンチ・クラブ的なパーティーがやりたい」「出し物は音楽だけに拘らない」ということを既に言っていたのだけれど、今日のタンゴスチン・イベント「しぜんのせかい」(入場料:1000円)はまさにそれを体現していたように思う。彼は以前お兄さんと渋谷で「モンドリアンハート」というイベントもやっていたが、あれも決して音楽だけに拘ったイベントではなかった。それよりも、今回はとくにプライヴェートな匂いがしたのだが、彼を中心にその友人らが集まって催されたものだから、ごく自然な成り行きだ。観ている方としては、何かやはり友人の家に行くというのは、ライブハウスにいそいそと足を運ぶよりもずっとリラックスした感じである。駅から30分くらいバスに乗ったのも功を奏したかもしれない。都内ではライブハウスに行くために30分もバスに乗らないし(笑)。しかし個人のお祭りとはいえもちろん準備するほうとしては大変なのだと思う。当日上映された2本の自主映画タンゴスチン・スタジオ制作「???」と「ゴトーは待ちながら」(笑)も17〜19日頃の数日で撮影・編集・録音を全てやったと聴くし、サタデーのライブ自体も、ほとんどリハーサルはなかったらしい(笑)。


 そんな中でも20人強の客を集めて、映画上映にライブ、手作り料理まで作ってしまうそのエネルギーには圧倒されることしきり。ぼくが禅寺に生まれて彼のような立場にあったとして、きっとこんなに人を動かせないだろうなーなどと、妙な嫉妬を覚えたり(苦笑)。いやその「華火」があるにはあるんですけど、あれは過去だしさ。やっぱり何か断続的にでもやりつづけることに意味があるよ。加えてこういうなんだか、学習発表会というか、肩肘張らないミニ文化祭的な雰囲気というのが非常に可愛くて今までにない感覚でありいいなあと痺れたのである。サタデーは1ヶ月余りのご無沙汰だったけれど、その間に完全にポップスバンドに変身していたのはビックリだった。しかも1曲目のビーチ・ボーイズ。山下さんにお聞かせしたかったなあ(笑)、などと思ってしまったり。ぼくは後で聞いてビーチボーイズのカバーだと知ったのだけれど、コウリョウくんの打ち込みに併せての男子コーラスがとてもイイ感じでした。ていうかコウリョウくんはよい声をしていると改めて思った。サタデーは友人バンドであるという贔屓目を差っ引いてもずいぶんイイ感じに変化しているのではないかとつくづく思った。彼らがパフォーマンスしている後ろに、仏様がいるというのも大変に感じ入るものがあったり(笑)。お寺の文化的施設感というか、そういう連綿と続いてきた何か、寄り合い感アゲイン!レトロでノスタルジーみたいな感興というよりは単純にその風景がシュールなことシュールなこと(笑)。場と出し物が併せて醸し出す健全な非日常感というのはやはりすばらしいなあ、と思うことしきり。


 サタデーのメンバーであるノブくんの「講座 岡本太郎」とアンドゥさんの「講座 サメ」も面白かった。こういう風に自分の好きなものをラフに語れる場というのも非常に内輪的なノリといえばそりゃそうなのだが、彼らの交友はいっそう深まる様に思えて良かったし、個人のパフォーマンスという点でもサタデーは芸達者の集まりだなあ(笑)と思えた。こういう暖かい空気感というのはなかなか希有なものだと思います。なんていうか、やっぱり学生的なものなのかな、と思うけど。そういう点では春も近いからか非常に切ない感じもしたのだけれど、もちろんそんなことは、あの場では口にしなかった(笑)。


コウリョウくん、楽しい時間をありがとう。