Miyazwa Akio

駅の裏のやる気のない古本屋で、宮沢章夫「百年目の青空」(マガジン
ハウス)と、北村薫「空飛ぶ馬」(創元推理文庫)買う。併せて200円。
入り口の前でポケモン関係のゾッキ本が大量に投売りされているのが
なんとも哀しい。ダメな感じの古本屋は、なぜか懐かしい。というか
中学生のころを思い出す。学校帰りに道草食ったり自宅の近所にあった
古本屋はいつもそんな感じだった。1軒だけじゃなくて、どの店もうまく
いえない共通の雰囲気があった。採光が悪かったり薄暗い店が多かった
ような気がする。まあこれは新刊書店とは違い店舗が、住宅街の近くに
あったりすると、構造的な問題があって暗かったのかもしれない。コン
ビニの例にもれず、昨今は異常な量の蛍光灯で、店内をすごく明るくして
客の心をひきつける商売が多いけれど、ぼくはこういう鄙びたというか
やる気のないというか、投げやりな感覚になんとなく惹かれなくもない。
ぼくの妄想の中では古本屋は夜、白熱電球を灯していてほしいのだ…。


しかし今日、なんともいえず中学生の時にタイムスリップしてしまった
のは、店内でかかっていたBGMがなんとZARDだったから。しかも'94年
くらいの音で、安っぽく不毛な空気感になぜかとても痺れてしまった。
有線ではなくて店員がかけていたというのもものすごくポイントだ。
今一番旧く感じる音は、'90年代前半のポップスのような気がしている。