阿久悠『愛すべき名歌たち』読了



少年時代に、結核にかかり内省的になった男が、その人生を振り返り今まで好きになったうたについて語っている。
読み進むにつれ彼がかつてもっていたであろう嫉妬深さとハングリーさが、じわじわと伝わってくる。
何気ない一文から、ことばが持つ力を信じていた人間の気迫が感じられる。それは
彼が作詞家として成功した自負と表裏一体のような気がする。読んでいて「遠いな」という感じがしました。