北野勇作『どうぶつ図鑑 その4 ねこ』読了



ゴジラへのオマージュ「手のひらの東京タワー」。コミュニケーションへの不全感がネットワーク上にプログラムされた意識(人格)を通して書かれる。
攻殻機動隊」を思い出したりしました。この種のSFはあまり好きではないです。今あるこのわたしの意識も誰かの見ている夢なんではないか、みたいな設定って
おもしろいな、とは思うけど、ことさらその先に進む気にはなりません。東京タワーは好き。


「シズカの海」はドラえもんへのオマージュ。男の子が交通事故で死んじゃうってとこは「鉄腕アトム」入ってるのかな。アトムってけっこうダークな話ですよね。
小1か、小2のとき、父が講談社全集版のアトムの第1巻を買ってきてくれて、はじめてアトムを読んだんですけど(その頃は断然「ドラえもん」好きだった)
要は科学者天馬博士が愛息トビオを交通事故でなくしてその代わりにつくったのがアトムで、アトムはロボットだから背が伸びない。
で、天馬博士は彼が成長しないことに怒って(アホか)アトムを売り飛ばしてしまうんだけど、その博士がアトムに怒っているシーンのコマが、印象的で。
博士が竹刀でアトムの頭をぶったたいてるんだけど、その竹刀がバキッと折れて宙に飛んでいるという。
いま思ったんだけど、ドラえもんの最終回でのび太植物状態になってなんちゃらって話があって、「アトム」よりそちらに近いかも。
別に元がなんだろうがどうでもいいんですが。


この2篇に挟まれた「蛇を買う」にはあえて言及しません。オチも含めていちばん好きな作品かな。