関川夏央 / 本よみの虫干し(岩波新書)



浅学のため、関川がもともとマンガ原作者だということを知らなかったので、
岡崎京子の『リバーズ・エッジ』を柔軟な視点で評していて、「すげえなあ。文藝ひょうろんのひとでも
ここまで柔軟なまんがひょうろんができるんだ」と唸っていました。明治ころ、欧化しちゃった日本の
インテリの苦悩ってのは、今から見るとずいぶんこっけいなのだけれども、別に100年前と
人間大してやることなすこと変わらないというか、人間てしょうがないもんだなあ、と読みながらつい思ってしまっタリバン
文士という生き方はずいぶんとやくざなものです。改めて云うまでもないのだけれど。


岡崎の評では近代から現代の文学のモティーフが結核から心の病に変わったんだ、そして、
病とは「聖痕」ではなく、もはや「常態」である、という指摘があるんだけれども、まあ、そうだろうねえ&どっかで聞いたことがある気がする。
souiya,菊地成孔が云ってたか。「人類皆しんけいしょう」と。