小熊英二 / 単一民族神話の起源(新曜社)



3週間ほどかかってやっと読了。バイト帰りに読みながら舟を漕いだは数知れず。
近代日本の欲望が、混合民族論/単一民族論に大きく影響し、その時々に応じて
栄枯盛衰した様子を資料を駆使して描き出す。しっかし『民主と愛国』のほうが文章量は
多いけれど、文体がやわらかいので読みやすいです。


第二次大戦においていえば、混合民族論が主唱されたのは、ミッドウェー海戦前の
イケイケだった頃(そんなふうな記述は無いので、正確には本文参照のこと)、
日本民族はアジア全域のいろいろな民族が混合してできた雑種であるからこそ
優れており、彼の地への進出を、日本民族の帰還として位置づけようとしたこと。
戦線拡大し、押され気味になってからは、単一民族論が出てきて・・・というような話。
本当は、いろいろな登場人物が出てきてそのエピソードが逐一面白いのです。


お時間無い方は結論だけでも読んでください。おもしろいので。「神話は必要ない」という結論なのですが。