塚原史 / ダダ・シュルレアリスムの時代 (ちくま学芸文庫)



友人某氏の師にして、小生の卒論執筆時、リアファレンスになった『言葉のアヴェンギャルド』をお書きになった塚原先生の新作。
といっていいんじゃないだろうか。
というのも『プレイバック・ダダ』を底本としているようだけれど全面的な改稿がなされているようだから。
去年の9月にリリースされているけれど当時卒論がえっちらおっちら始まった時期に相当し、資料としては完全に見落としていた次第。


巻末の巌谷國士の解説がとても的確でこれまたうっとりしたのだけど、「ダダって何なの?」と思っている奇特な方はぜひ読まれたし。
バタイユの項なども新鮮に読んだけれど、全篇通じてツァラへの愛が深く、やはり個人的にはその愛ある批評精神に打たれた。
ツァラを通してダダを見通そうという試み、ダダとシュルレアリスムの通時的分析、シュルレアリスムファシズムの言語に対する姿勢の近似等、
興味深いトピックが多く、飽きずに読み通せたので気持ちよかったです。