江戸川乱歩 / 新宝島(光文社/江戸川乱歩全集)



戦中発表された表題作(昭和15年)と「智恵の一太郎」(小松龍之介名義、昭和17〜18年)、加えて長篇「偉大なる夢」(昭和18〜19年)を併録。
どの作品も決して戦禍を免れてはいないが、とくに少年向け作品「智恵の一太郎」は科学読み物の色が濃いため現在でもなお楽しめるのではないか。
新宝島」は支那の悪漢に誘拐された三少年が無人島に辿り着き智恵を絞って活躍する冒険もので、素朴な味わい。
「偉大なる夢」は再読(→去年読んだ感想)となったが、改めて読むとさすがに書かれた時局が時局だけにあって
作品が損なわれているような気がした。ただし雰囲気は悪くない。