ラドミル・エリシュカ(指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団(演奏) / NHK FMシンフォニーコンサート 公開録音



私の住む狭山市の市制50周年を記念して、「FMシンフォニーコンサート」を行うよ、
ついては観覧者を募るよ、と市の広報に載っていたので、往復はがきを買って送って観に行きました。
演目は以下の通り。2005年2月6,13日(午後2:00〜3:00)と2月7,14日(午前10:00〜11:00)とNHK-FMで都合4回放送されるそうです。

(アンコール)



観客はもうおじさまおばさま方がおおぜい。おじいさまやおばあさまも若干いらっしゃった。
そして私くらいの20台はあまりいないようで、おそらく学校を通じて募ったのであろう女子中学生たち。
もうなんともいい感じの客層の中へ十数年ぶりの市民会館を訪ね、聴いたのです。


まず「ジークフリートの牧歌」。素朴で暖かい曲想に乗せて活躍する木管楽器、とりわけホルン(金管楽器に分類されるらしい)。
ホルンホルン。「ジークフリート」というのはヴァーグナーのコジマ(リストの娘)との間の息子の名(当時ふたりともそれぞれ夫と妻がいたわけだが)。
ヴァーグナーは息子の名を冠したこの曲を妻(?)の33回目の誕生日に送ったそうです。あらまあ。すてきねえ。
というかこういうヴァーグナーもあるんですね。おもしろい。いやこれはかなり私的な作品です。


組曲「利口な雌狐」。ヤナーチェクチェコの作曲家ということは知っていたけれども、おおすてきだ!
この曲は1921年から23年にかけて書かれたそうだが、ヤナーチェクは当時人妻に恋をしており
その恋から大いにインスピレーションを受けたようだ。
常時反復されるシンコペーションシンコペーション。反復。シンコペーション。反復。気持ちいいね。
行きそうで行かないメロディにたまらず悶える。これはやはり叶わぬ恋を表現しているのだろうか。


最後に交響曲8番。ヤナーチェクに感銘を受けたので、ドボルザーク(ドボジャーク)はあんまり、という感じ。
ヤナーチェクの和声の感覚とドボジャークとヴァーグナーの和声の感覚は似ている感じがした。
音楽理論をまったく知らないのだが、ドボジャークとヴァーグナーはロマン派っぽい。あんまり逸脱がない。
その「逸脱」というのも、おそらく何かはっきりと和声の進行やらなにやら理屈があるのだろうが、
ヤナーチェクには猥雑というか野生というかゴギゴギとした歪みがリズム、メロディ、ハーモニーにあってとても刺激的だった。