二本松男二人旅 その2



起床すると午前七時。宿は安普請で、歩くと、みしみし言うし、寝具は汚れているが食事は悪くない。
目が覚める直前に、歯磨きをしていると歯肉がどんどん崩れて、口の中が歯と歯肉で一杯になるという何とも気味の悪い夢を見た。


午前八時から朝食。朝食用の広間から、宿の庭が見え、木のてっぺんにゴイサギがとまっていたので、
思わず携帯電話のカメラで撮ってみたが薄ぼんやりしていてよく分からないものが撮れた。


午前九時半頃、宿の近くからバスに乗り二本松駅へ向かう。駅前でさらにバスを乗り換える。
十五分ほど、待ち時間があったのでバス停脇の二本松神社に参拝した。


バス乗車から約一時間後、高村智恵子の生家の前に着く。記念館を併設しており、千恵子作の貼り絵を中心にいろいろ展示されていた。
智恵子の文章は稚拙とも言えるが、今から100年ほど前の女性が感じた生な気分については感じ取れるものがあった。
高太郎は恋文に、自分が見た夢に、彼女が殺人犯として現れ、乳の辺りから血を流していたと書いており、なかなかファンキーで良い塩梅である。