クリント・イーストウッド監督 / ピアノ・ブルーズ



マーティン・スコセッシがプロデュースするブルーズのドキュメンタリーシリーズのうちの1本。


ブルーズといっても広義で捉えれば、米国の黒人音楽にはそれが脈々と受け継がれているわけで、レイ・チャールズデイブ・ブルーベックらも登場。ピート・ジョリー、ドクター・ジョンらがスタジオに招かれ、インタビュー&演奏。特にドクター・ジョンセロニアス・モンクについて語り始め『ブルー・モンク』を弾き始めたのには興奮した。マイク‘ドクター・ジョン’レベナックは、かの名盤『ガンボ』収録曲からも一曲演奏していた。それはキレも悪く、ミスタッチの目立つ演奏だったが、生で動いている姿を見ることができて実に楽しかった。晩年のレイはかなり衰えていたが、ピアノを弾きだし歌い始めるとおそろしく生き生きとし始め、彼の存在そのものがフィルムの中でブルーズを発散しまくっていた。


さらにフィルムでは楽聖デューク・エリントン(エロ過ぎるよ!)、ファッツ・ドミノナット・キング・コールカウント・ベイシーオスカー・ピーターソン×アンドレ・プレビン、プロフェッサー・ロングヘア、セロニアス・モンクほか錚錚たる面々が縦横無尽に弾きまくって、この上なく素敵な気分になってしまった。特筆すべきは、マディ・ウォーターズと「ブルーズって何だろう」という話をしていたオーティス・スパン(http://music.goo.ne.jp/artist/ARTLISD13750/review.html)というピアニストで、彼の演奏が二曲で五分ほど続いたのだが、そのピアノ、歌声が共に素晴らしく、思わず落涙しそうになった。ウォーターズが「うしし、俺はビューティフル・レイディズを口説くためにブルーズやってるよガハハ」と笑っていたのは、いかにも彼らしい。


しかし南部黒人の話す英語は訛りがひどくてさっぱり聞き取れませんでした。時折単語が分かる感じ。東京人が、鹿児島や長崎に行ったらこんな感じなのか。イーストウッドは普通に意思疎通していたが。