朝崎郁恵 in 金曜深夜便 of News23 (東京放送)



帰宅してテレビを点けると偶然、朝崎郁恵が生出演していた。朝崎さんも随分メディアに露出するようになったものだ。わたしは1997年の12月に杉並の辺りで彼女のライブを観た。細野晴臣の運営するデイジーワールドのクリスマスパーティーと同日だったので、その日のことはよく覚えている。


番組では、スタジオライブで「嘉義丸のうた」という、第二次大戦下、奄美近くで米軍の魚雷艇に沈められた船のうたを歌っていた。朝崎に師事するUAの言う通り、朝崎の、不可思議な音程差と裏声を多用する節回しから紡ぎ出される音楽は、喜怒哀楽を超えて何か大きく感情に訴えかけてくる。その歌に押し付けがましさがない、と言ったところも特筆すべきだろう。サビの歌詞が「ああ憎らしや憎らしや」なのに、そこには恨みや怒りではなく静かな鎮魂の精神のみがある。すてきだ。