新宿ニューイヤージャズフェスティバル2006@東京厚生年金会館ウェルシティ東京



 雪の中、新宿へ。15時開演21時終演(実際は30分ほど押した)のイベントで、他に渋さ知らズ、三好功郎スペシャル・ユニットが出演した。
 実際、ライブを観ていたのは3時間くらいだったが、とても割安感のある充実した出し物でとても満足した。



 ファンキーなリズムにアラブ風味の旋律が踊っていた。
 鬼怒無月のギターは、ボンデッジ・フルーツやロヴォで何度か聴いているが、白人的なセンスを感じさせてどうも好きになれない。高校生ぐらいでアメリカのハードロックを聴きつつ、同時にクラシックの音楽理論を学んでいたような音だ。プログレクラシック音楽と親和性の高い音だなあ、とつくづく思う。テクニックは凄いのだけれど、音色がわたしにはだめなのだ。
 ティポグラフィカのギタリストであった今堀恒雄のギターは、暗く重く黒い感じでよかった。彼を固定のギタリストにしたほうが良いんじゃないかと思ったが、余計なお世話だろう。対照的なギタリストの演奏を同時に見物できたという点ではおもしろかった。
 梅津は齢を感じさせないエナジェティックな演奏だったが、バラッドを演奏すると途端に大味になるのが微笑ましいといえば云えなくもない。



 絵に描いたようなアヴァンギャルドなジャズ。とにかく、うるさく、近藤のトランペットは叫び続け、ジョン・ゾーンのサックスも猛り狂った馬のように吠え続け、そこへ冷静な大友がギターを引っかき、しっちゃかめっちゃかやっている。毒を以って毒を制すという感じか。
 ただ、リズム隊がしっかりしているので、管楽器がぐちゃぐちゃでも音楽として聞こえるのだ。ビル・ラズウェルのベースの音がとてもふしぎで、何かエフェクターによるものなのだろうが、エレキベースとは思えない音が出ていた。



 美しく狂おしい前半。力強い後半。大雑把にいうとこんな感じだ。音楽の創造力に溢れ、一番良い出し物だった。
 ゲストの菊地は部屋着のようなジーンズを履いて、最初から楽団の一員としてパイプ椅子に座っているのがおかしい。アルフレート・ハルトがエキサイトして、バスクラリネットをマウスピースと、管とあさがおに分解して、マウスピースとあさがおをくっつけて吹こうとしているのもとてもおかしかった。



 山下は椅子の高さを下げて、鍵盤に近接し、強力な打鍵が可能な姿勢をとり、背中は猫背。脇から見ると、グランドピアノと相撲をとっているようにも見える。
 ゲストのサックス奏者ふたりは若く、正式な教育を受けている毛並みの良い感じ。いくら馬のように嘶いても、育ちの良さは隠せないなと思った。
 パーカッションの八尋がおそろしいテクニックを披露。ひとりポリリズム隊だ。スネア代わりに足の間に挟んだ太鼓と、左右両足がぜんぶ別のリズムを刻んでいたので、凄いものだった。