バンドバトン回答(菊地成孔とpepe tormento azucarar編)



 2月26日分の日記に、ハラ(http://keshiki.rdy.jp/blog/)さんからトラックバックをいただいた内容についての回答です。

  • 好きなメンバー2人(敬称略)



 南博(ピアノ)、北村聡バンドネオン)


 大儀見元(打楽器)、鈴木正人ウッドベース)も好きですが、上記のメンバーの印象が強い演奏が多かったので。

  • 思い入れのある曲3曲と、その理由



 京マチ子の夜、恋の面影(Look of Love)、ルペ・ベレスの葬儀


 「恋の面影」(Look of Love)は、バート・バカラックの作曲で、ダスティン・スプリングフィールドの歌唱などでよく知られている楽曲ですが、何か欠けているような塩梅の美しさを感じさせる良く出来た曲だと思います。キクペペの演奏する「Crazy, He Calls Me」もジャズスタンダードとして知られており、印象的なのですが、「恋の面影」のスロウで陰鬱かつキャッチーなイントロに軍配を挙げることにします。デューク・エリントン楽団で知られる「イズファハン」も、コンサートでの演奏が捨てがたいのですが、そんなことばかり云っていると収拾がつかなくなるでしょう。


 「京マチ子の夜」と「ルペ・ベレスの葬儀」は、キクペペの演目のなかでも人気の高い2曲だと思いますが、実際に作曲されたのは、菊地成孔トリオが活動していた時期(1995〜1997年)にあたり、『南米のエリザベス・テーラー』リリースに伴い公式に音源化されたので、オールドキクチファンには、感慨も深い曲(たち)でしょう。
 この2曲の曲想を顧みると、『南米のエリザベス・テーラー』における「エキゾティズム」というコンセプトに立ち返ることになるのですが、ジャズという音楽がそもそも持っているエキゾティズムを考えれば、菊地氏が作曲をするとき、そのエキゾ性はついてまわってくるわけで、キクペペに負けずDCPRGスパンクハッピーもとてもとてもエキゾですね。エキゾティズムという語の本義は、辞書においては日本語訳されて「異国情緒」と端的に紹介されているのですが、この「異国」は、音楽においては、音楽そのものであり、また音楽が指し示す「ここではないどこか」なのですから、「屈折した異国への憧憬」でも「失われた過去への憧憬」でも、何でも良いのです。
 むろんバンドネオンやアフリカ由来の打楽器の音、といった耳に聞こえる音そのものも聴覚上の快としてあるのですが、音楽の動機がエキゾティックかそうでないかで、その魅力はだいぶ変わってくるものだと思います。「ここ(内)からどこか(外)へ出ようとする力」のようなものを感じさせる音楽が、わたしにとってはとてもエキゾティックに感じられるしだいです。上記3曲はエキゾティックな魅力に溢れていると云えると信じているので好きなのです。


 楽曲に対する思い入れは、コンサートに足を運んだときの、体調や気分などと深く結びついているように思います。それは時間の経過と共に曖昧になるものである上に、昨年はなんども彼らの生演奏を聴いたので、なぜ魅力を感じて好きなのか、ということを以上に記しました。

  • このバンド以外で気になる(よく聴いている)バンド



 よく聴いている:ピチカート・ファイヴマイルズ・デイヴィスのさまざまなグループ、コーネリアス、ムーンドッグ、クァルテート・エン・シー、グレン・ミラー楽団など
 気になる:GUIRO(名古屋を中心に活動する奇妙なポップバンド)

  • 次にまわす人5人と、バンド



 割愛