東京-ベルリン/ベルリン-東京展@森美術館



 1910年〜1930年代の展示品がおもしろかった。「独逸国際移動写真展」など、20世紀前半の両国の作品は、前衛的なものをピックアップしたこともあるのかもしれないが、暗く重い雰囲気のものが多かったようだ。
 展覧会として、大きすぎる企画であることは否めない。というのも、20世紀の100年を日独の視点から総覧しようとする試みであり、展示品をまともに眺めていくと優に3時間以上を要すのだ。見物している間にだんだんとくたびれてしまうから、あまり楽しめない。


 「森美術館」の位置する場所と、運営する団体を考えれば、ここが気宇壮大な企画を立案する傾向にあって、結果的に、美術作品そのものよりも、コンセプトであったり、かかったカネの匂いを漂わせてしまうモノを出してくるであろうことは十分に見当がつくのだから、ほんとうに美術が好きな人は避けて通りそうな処である。
 という私の意見に十分偏りがあることは分かっているのだが、「森タワー」はしばらく行かないようにしたい「場」であり「建物」である。今回の展覧会以前の問題に、私はこの美術館に入ってしばらくしてビルディングの構造が、じつに好みでないことに気づいたのだ。美術品には珍奇な要素があるのだから、建物まで珍奇にしなくていいのに、と心から思ったので、残念至極。