斉藤美奈子 / 妊娠小説(筑摩書房)

妊娠小説


 恋愛小説や青春小説というカテゴリにくくられている物語に「(望まれない)妊娠」という尺度を用いて、物語の書かれた時代や文化的背景を浮き上がらせていく。文芸批評を批評する試み。
 文体に勢いがあって、それはなかなかのものなのだけど、正直読み続けるのがおっくうになってしまうのは否めない。「妊娠小説」の類型や方法論についての部分は簡略化したほうが、読み物としては完成度があがったように感じた。でも、デビュー作でこれだけパッションに溢れているってのは凄いな。