UA×菊地成孔@日比谷公会堂



 始終恍惚としていたので、あまり語るべきこともないのだが、すばらしい演奏だった。UAが孔雀のオスみたいなコスチュームで、顔は猛禽類で、生命力に溢れた歌で何より良かった。UAはああいうドレスを身にまとって、肌を露にしても、エロエロでセクシー!って感じにならないところに、人気の秘密の一端があるのだろう。エロティックというよりもエロースのひとで、道理で女性に強い人気を誇るわけだ、と勝手に納得していた。
 UA×菊地バンドの面々がとても楽しそうに演奏していたのがとっても印象的。途中で、菊地さんが胸に手を当てて音楽の神様に感謝をささげていたのも印象的。ハープ:堀込彩の活躍が目立った。ストリングスパートがシンセサイザーというのはちと残念だったけれども、仕方ない。KQLDではいまいちだった音響効果(今回はパードン木村が担当)は、非常に効果的だったと思う。でもあれを「ダブ」って呼ぶのには未だに抵抗がある。

 id:k_turnerさんのセットリストを借用させて頂いて、以下簡単に1曲ずつ感想を述べよう。

1. Over the rainbow


  先にTATOU TOKYOでのライブの際に、この曲を聴きながら失神したので、やたらと動悸が激しくなってしまい参った。とても長く長く感じられた。


2. Night in Tunisia


  ひじょうにエキサイティングな演奏だった。


3. Born to be blue

  憂鬱を歌って、憂鬱を超える何かを感じさせるのがジャズ・ボーカルの醍醐味だと常々思っているが、それが実現されていた。


4. Music on the planet where dawn never breaks


 この曲が好きな人は『南米のエリザベステイラー』を聴くべし。 UA×菊地のトラックは濃密なものばかりなので、こういった曲は、ライブ全体の箸休め的な空気を与えてくれて快い。


5. Lullaby of birdland


 ウィスキーのCFに使われたことは知っていたが、CFじたい一度しか観た事がないので、「ああ、このスタンダードって聴いたことあるな。タイトルが思い出せない!」と呻吟していた。


6. Ordinary fool


 CDではかなりレディ・デイしているのだが、ライブではUAの歌になっていた。良かった。


7. 嘆息的泡


 このフェイク・カントニーズの曲が持っている世界観はスパンクハッピーに通じている。黄色魔法的ジャズ。かなり好きだ。


8. Joan of arc in the money jungle


 いやあ、坪口さんのプレイが凄かった。でも、坪口さんのピアノってのはあれだけ叩いても、半歩後ろに下がっているような感じがしてふしぎだ。


9. Honey and scorpions


藤井さんがすんごいドラムだった。鈴木正人のベースの上手さを堪能した。椅子から立ち上がって踊りだしたくなったけれど、ガマンした。


10. Luiza


 中島さんの弾いていたシンセの音がちょっと安っぽくって頂けなかった。菊地さんはよく歌ったよなあ、と正直思った。けれども良かった。


11. Hymn of Lambarene

 この曲は神々しく力強いのだけれど、CDのほうが完成度が高いような気がする。


12. This city is too jazzy to be in love


 実にスウィングしてたな〜! また踊りだしたくなってしまったけど、ガマンガマン。


〜アンコール〜


13. I'll be seeing you


文法の話をされたから、そのことばかり考えてしまった。


14. Nature d'eau


とうとう冷房でからだが冷えてしまい、心半ばだった。




なんというか、感想を書くのがあほらしくなってしまうくらい、うっとりとしていたので、もう、こんな感じの文章になってしまうのです。以上。