羽海野チカ / ハチミツとクローバー (全10巻・集英社)



 「ハチミツとクローバー」が、優れているところは「生きることの重さ」みたいなものを、押し付けがましくなく描けているところにあるのだろう。登場人物のほぼ全員が誰かに恋しているだけの恋愛マンガであれば、きっと退屈してしまったと思うけど、連載の後半に入るにしたがって、なんともダークな雰囲気が出てきて、無垢の象徴=はぐに命の危機が迫ったりして、「あざといなー。でもうまいなー」などと感心しつつ、読みながら2回くらい泣きそうになったのはもちろん秘密ですわよ。