コンピレーション / 細野晴臣トリビュートアルバム

細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono-


愛のある細野晴臣作品カバー集だ。が、トリビュート盤としてはおもしろくない。「トリビュート」と謳う作品は沢山あるけれど、まあ、その定義も難しい。「細野晴臣作品をトリビュートする」ということを真剣に考え始めるときりが無くて、商品としても難しくなってしまうだろう。でもちょっとそのう、期待してたのかなあ。期待は失望の母ですね。


リトル・クリーチャーズの「ハイスクール・ララバイ」は微熱中年な感じで良い。なんかいやらしくてダメなオッサン感が良い。スカパラの「アブソリュート・エゴ・ダンス」はわりと良いが、彼らのカバーだったら「シムーン」の方が圧倒的に優れている。特に「イエロー・マジック・ショー」(NHKの衛星放送で放映された細野特番)で演奏されたテイクは素晴らしかった。口ロロの「北京ダック」は合唱曲風の平たいボーカリゼーションがユニークだが、4声でハモる訳でもなく、延々ユニゾン。エンディングにおまけで「天国と地獄」をやっている。勝手気ままにやっている感じでおもしろいね。教授とコーネリアスによる「Turn Turn」カバーは、特に聴くべきところのない駄カバー。幸宏の「スポーツマン」の方がまだマシ。ジョン・セバスチャンは「蝶々-San」を英訳して歌っていて、これは良い。ヴァン・ダイクの「イエロー・マジック・カーニバル」はサウンドが素晴らしい。 


 と、こんな感じで収録曲に関する感想なんていくらでも思いつくんだけど、これはトリビュートアルバムでは無いと思う。『細野トリビュート』は「作曲=作品」の部分だけで、トリビュートの選曲してる時点で、手法が間違ってる、という指摘は傲慢に過ぎるだろうか。しかし、プロデューサーとしての細野晴臣を、細野作品を通してトリビュートするいう課題があったらこれはきわめて難しいね。だいたい細野作品において細野晴臣を越えるプロデューサーなんていないだろうし、そうしたら細野さんの作品に影響を受けて作品を作っている今回参加したミュージシャンたちのオリジナル作品のほうがよっぽど「トリビュート」になりゃしないか、って思うわけですよ。