間瀬元朗 / イキガミ(1〜2巻、小学館)

イキガミ―魂揺さぶる究極極限ドラマ (1) (ヤングサンデーコミックス)


 「明日死ぬことを知っている私」という設定自体がファンタジー的=流行の「セカイ」系的だと言える。そこ突っ込んじゃうと、この物語を語るには身も蓋もなくなるのだが。
  日本人に「生命の尊さ(価値)」を学ばせることが法律で義務付けられている「悪夢」的世界で、小学校入学前の子供は全員注射を打たれるのだ。ある一定期間経つと、無作為に選ばれた(とされている)人々は死に至る。その24時間前に死を知らせる役を負う部署に勤める、公務員の主人公を中心に物語は進む。いささかあざとい物語進行が鼻につくが、良く出来ている。今後主人公が疑問視する「人の倫理」の部分を、エンタテイメントとしてどのあたりまで表現できるのかは、作者の力量が問われ、見物かもしれない。
 この作品も完結前に映画化されるらしいが、日本のテレビドラマや映画が娯楽としていかに衰退しているかということを再認識させられることが、最近多い(と、えらそうなこと言っちゃいかんな、と反省しました)。