冷泉彰彦 / 「関係の空気」「場の空気」(講談社現代新書)

「関係の空気」 「場の空気」 (講談社現代新書)


本文のどこに書いてあったかメモをとらなかったので思い出せないが、いまの日本の右翼や左翼が、日本語そのものについての感覚が鈍過ぎて、他者に自分のことばが伝わるか伝わらないかという疑念/意識がまるでなく、したがってひとびとにもそのメッセージが伝わらなくなっている、という指摘が非常に示唆に富んでいるように感じられた。というのは、ここで指摘されているのはクローズドな、前提条件や基礎知識、価値観を共有している「仲間」に話しかける「内輪」のことばの問題を語っているからだ。著者の言う「空気」は山本七平『「空気」の研究』の「空気」概念を参照しているのだけれど山本七平のこの本も面白そうだ。