新潮 2008年5月号(新潮社)

新潮 2008年 05月号 [雑誌]



大谷さんの中で「ようやっと」という表現が流行っていたのかしらんと思うがご本人に尋ねたらこの作品は2,3年前にすでに書き溜めていたものらしい。『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究』でも「ようやっと」というのが頻繁に出てきたが、あんまり関係ないのだろう。物語の結末にかけて見られる、デューク・エリントンの音楽の祝祭性を具現化しているようなドライブ感のある描写が楽しく又微笑ましい。



新作『ダンシング・ヴァニティ』を軸に、小説における反復を主題とし、他のジャンルの表現における反復も参照しながら、反復について、反復的に考えさせるエッセイ。ふだんから音楽における反復について自分で考えるところがあったので、この論考を元手にいろいろな反復について思いをはせるのが楽しそうだ。