木原武一 / ぼくたちのマルクス (ちくまプリマーブックス)



傑作。マルクスとか資本論とか興味あるけどなんかやたら小難しくて面倒くさそうでおもしろいかもしれないけど何から読んだらいいのか分からないんだよねーというひとにおすすめ。マルクスの信念としての共産主義とその現代における価値をしなやかに指摘する。


このように、マルクスのすべてが正しいとか、すべてがまちがっているとかいった議論は不毛であり、また、百年前の理論が現代に通用するはずがないと思い込むのも料簡が狭すぎる。マルクスのすぐれた伝記を書いたマクレランは、「労働価値論は<科学的な>理論ではなくて、資本主義制度の運動がそれによってどこまで洞察されるかによって判定されるべき理論である」といっている。すでに繰り返し述べたように、私が関心があるのも、理論を通してこの現実の世界をどれくらい深く広く見ることができるかということである。


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