片山杜秀 / 近代日本の右翼思想(講談社選書メチエ)
第二章(右翼と教養主義)がとりわけ面白い。大正〜昭和にかけての教養主義と近代右翼思想のかかわりについて分かりやすく述べている。作者は1963年生まれで、今年45歳。おそらくいわゆる構造主義や現代思想もかじってはいるんだろうけど、妙に簡明な叙述と、衒学的な叙述がふらふらスイッチする感じがあり、思考にムラがある感じはする。近代右翼思想における天皇の在り方については本書を機会に今一度考えてみたい(TBSラジオLifeで「天皇制」特集なんてやらないだろうか。ちょっと危険かなあ・笑)。この本ではカリスマ北一輝や大川周明なんかはあまり扱われないが、おおむね近代右翼思想は挫折したモダニズムと超越的な神秘主義(天皇主義)とベタな生活保守があいまってる感じがなんとも言えない味わいである。