芸術劇場 ≪ゲスト≫岡田利規 案内役:中條誠子アナウンサー(NHK教育テレビ/22:30〜0:45放映)


★情報コーナー
岡田利規に聞く

劇作家・演出家の岡田利規は2005年、岸田國士戯曲賞を受賞。「超リアル日本語」と呼ばれるセリフと身振りをもとにした独特の身体表現で演劇界を驚かせ、脚光を浴びた。岡田が率いる演劇ユニット、チェルフィッチュは、昨年のヨーロッパ公演に続き、今年は、アジア・欧米15都市で公演を行っている。俳優のインタビューや代表作の映像を交えて、チェルフィッチュの表現の魅力を探りながら、最新作「フリータイム」が描く世界について主宰の岡田利規に聞く。

≪ゲスト≫岡田 利規

★ 劇場中継
「フリータイム」

チェルフィッチュは2007年5月、初の海外公演としてヨーロッパ・パフォーミングアーツ界の最先端が一同に会する「KUNSTEN FESTIVAL DES ARTS 2007」に招聘され、「三月の5日間」を上演。大きな反響を呼び、KUNSTEN FESTIVAL DES ARTS(ブリュッセル)、Wiener Festwochen(ウィーン)、Festival d'AUTOMNE(パリ)との国際共同制作として今回の新作「フリータイム」が作られることとなった。チェルフィッチュ主宰の岡田利規は、この作品で新しい演劇的アプローチに挑戦。パフォーミングアーツの最前線として世界的な注目を集める岡田利規の新作「フリータイム」を紹介する。
 
(内容)
舞台は、東京のファミリーレストラン。 ここで出勤前のつかの間の自由時間を過ごすことにしている女性を主人公に、男女3人ずつの俳優が、語り手となったり、演じ手となったりしながら、物語を展開。女性や店員、別の客ら、それぞれの視点からひとつの物語がくり返し語られ、やがて、微妙な「ずれ」を生みながら、現代に生きるひとりの女性の自由と希望をめぐる物語が、多角的に浮かび上がってゆく。「世界を窮屈だと思ってさえいなければ、自由なんて誰の手中にだってすでにある」という気分が描かれる。

<作・演出 > 岡田利規
<出 演> 山縣太一 山崎ルキノ 下西啓正 足立智充
安藤真理 伊東沙保
<舞台美術> トラフ建築設計事務所(鈴野浩一、禿真哉)
<音 楽> 小泉篤宏(サンガツ
<収 録> 平成20年3月18日 
東京 西麻布 スーパー・デラックス

★対談  
大江健三郎  岡田利規チェルフィッチュの世界」

2008年4月、岡田利規の初めての小説集「わたしたちに許された特別な時間の終わり」が第2回大江健三郎賞に輝いた。大江・岡田両氏の対談を伝え、演劇と小説の世界を横断する岡田利規の世界を紹介する。



情報コーナーは中條誠子アナウンサーのなかなか腑に落ちない感じが正直で、また生々しくてよかった。「フリータイム」公演は知り合いにも幾人か観にいったひとがいたが、眠くなるような退屈になるような感じ(反復/差異で見せるので)がやがて静かな興奮に変わっていく感じが、持続的な緊張感を観客にも要請するので、心身疲れているとなかなか楽しめないだろうなと思った。途中まで一緒に観ていた(実家の居間で観ていたのです)母が「前衛的なのね。そして、このひと(岡田氏)はまったくこのお芝居のせりふの人と同じようにしゃべるわねえ」と言っていたのが妙に面白くて印象に残った。大江健三郎賞受賞記念対談では大江さんが熱くてびっくりした。とくに描写と独特の視点の移り変わりのみで成立する「三月の5日間」(『わたしたちに許された特別な時間の終わり』)に過剰に物語を読もうとする欲望が大江さんをドライブしているような気がしなくもないが、それは何十年も小説家をやってきているのでそうなんだろうな、とも思う。しかし岡田氏を激賞。ホントに激賞激賞していたのでビックリだ。対談のどのくらいの部分が編集されたのかも気になる(この対談って雑誌に載ったような気がするが、思い出せない。グーグル検索すればすぐに出てくるのだろうが→『群像』に載ってるらしい。2008年6月号くらいかしら)。