コシミハル@初台・新国立劇場



 残業が無かったので、職場から向かって当日券で鑑賞。7年振りである。やや押し気味で19時過ぎに開演。めくるめく素敵なパフォーマンスに夢の世界に誘われて、本当に寝たりした。そして夢を見た。短い夢で覚えていないが、席で目覚めると舞台の上でもうひとつの夢が進行しているのだった。時間はほんとうにエロティックである。
 ベレー帽をかむって首にネカチーフを巻いたバレリーナたちが可愛らしく美しく、まるであの世に迷い込んだようだった。わたしはあのステージにあるイスになって一生彼女たちと暮らすのである。彼女たちにかわりばんこに腰掛けられながら。そんな乱歩を読み過ぎた青年のような面持ちで、うつらうつら妄想に耽ったりした。それにしても振付が素晴らしい!
 篤実そうなファゴット氏の演奏がみずみずしく、わたしは少年時代のスリムでつるつるした肉体に戻ったような気がした。音楽の楽しみのひとつとしてのデリュージョンを忘れてはならないと心洗われた。一曲一曲を論じるのではなくて、感じていた。これはひとつのファンタスティックなストリームなのだ、と。またやわらかさには鋼の芯が詰まっているのだとも感じた。見れば、ダンスはほとんど意志の鍛錬なのである。というわけで明日も観に行く。