菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、東京スカパラダイスオーケストラ@日比谷野外音楽堂



キクペペはまだ空も明るい18時ちょうどからスタート。メンバーはストリングスとハープ以外総入替されていたが紹介がなかったので名前は分らなかった。かなり若々しい感じで、野外演奏ということもあるのだろうけどスカパラファンに対してのペペ入門のような感じだったから選曲がベスト盤のようになっていた。簡単にいうとあの不協和音でストリングスがギリギリ野蛮にやるとこ全部カットな感じですよ。〆1曲前「ルペ・ベレスの葬儀」のリズムが今までにない感じで面白かった。最後のほうは蝉に代って、東京湾花火大会の空撮ヘリがSEとなっていて面白く、1時間のステージにしては濃密だった。まるで『ミュージックステーション』キクペペ特番に出演したかのようだった。というのは言い過ぎだ。なぜならボーカル曲が1曲(「You Don't Know What Love Is」)しかないからだ。Mステに出るならもっとボーカルチューンでブイブイ言わせねばなるまい。


転換に30分かかって夢の島経由のスカパラ登場。演奏はおよそ90分。良く聴いていたのはちょうど10年くらい前で、ケン・イシイと共演していた頃。最近ではYMOシムーン」のナイスカバーで印象的だ。ライブは始めて。演奏が始めると観客はほぼ総立ちで、やっぱりキクペペ完璧アウェイだったんだね、と気付く(笑)。だいたいキクペペはやっぱり室内楽だし、野外だと空や街灯が明るく緑も豊かだし、音楽の退廃性にそぐわない傾向が否めない。いやー真夏の世のジャズin 日比谷。若者たちがJ-Poppyなノリでダンシンし始めたので、わたしもすっかりあてられて中盤からはずっとヘッドバンギングしていた。ただしかなりファンキーなヘッドバンギングであり、ストレートアヘッドなそれではない。まぁ、全力出して踊らなかった。踊ろうと思えばできたのだが、いろいろ考えて長袖長ズボンで行ったので(虫刺されと紫外線防止)控え目にヘッドバンギングし続けて結局上半身は濡れ濡れになった。スカパラは演奏もさることながらショーマンシップが素晴らしく、キーボーディストがラックマウントタイプのそれを抱えながらソロしたり、トロンボニストがくるくる回転しながらソロしたりしていて、インテリジェントな体育会系だった。サラリーマンに喩えれば、ちょっと下半身が不良だけど、じつは一本気があって、じいちゃんばあちゃんも大切にして会社でもそこそこ出世しそうなちょっとにくいアイツのようだった。いや〜、じつににくい感じだった!スカパラのスカのビートはなかなか深く、キクペペやデートコースやダブセクステット好きの音楽ファンであれば、スカパラファンより多く分析的かつノレそうなのだが、踊っていないキクペペファンもいた。もったいない!アンコールでスカパラ菊地成孔でファンキーナンバーでグルーブをぐるぐるにしていたからナイスだわねと思って帰った。


うわ、キクペペ観にいったのにスカパラのことばかり書いているけどこれでいいのだ。すごくいい組み合わせだったと思う。来年の夏あたりもこのタッグでナイスグルービンしてくれないかしらん。






おまけ☆これがスカパラによるYMOシムーン」のナイスカバー(ドラムス:高橋幸宏