菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール@恵比寿リキッドルーム



仕事のあとスーツでのライブ見物は久しぶりだ。平日(というか月曜)の午後8時なのに500-600人くらい入っていた。大学生はまだ春休みだから、だろうか。客入れは菊地成孔のDJ。途中から聴いたが、アメリカン・ゴシックからヨーロピアン的頽廃を往還し最後はアーバンにリコンストラクトされたアフリカン・ビートでグルーブさせて〆る感じでなかなか悪くなかった。


ペペの演奏は冒頭に雅楽風のサウンド・アンサンブルがあり、あとは完全フロア仕様でかつてのDCPRGを幻視させる感じ。マサカーのカバー曲で客がよく揺れていた。やはりいちばん素朴なビートでダンスが爆発する構造は変わらないのだなあとしみじみ。盛り上げ方もDCPRGと一緒でなんだか懐かしかった。それにしても林さんの若くて腰のあるピアノが素晴らしすぎて、そのままハンマーとピアノ線に打ち抜かれて死にたくなるほど。大儀見さんのタイコは相変わらず恐ろしいほどのグルーブ。あのグルーブに比べたら自分の人生など露ほどの価値もないように思え、うんざりするのだった。しかし今回のストリングスセクションは虐待されていたので特筆に値する。特にウッドベースは完全フロア仕様の振動に増幅されており、音色の美麗さはなし(音色とは関係ないけど、やっぱりベースは鈴木正人が素晴らしかったな…)。しかし低音がひずまず出ていてリキッドのスピーカの性能を感じたのも確か。あと、リキッドルームの照明ってけっこうきれいだと気づいた(恵比寿に移転してからリキッドルームにはほとんど行かなくなったけど)。菊地サックスはなかなかやる気があって、新しい恋人でもできたのかしらと思わせる出来ばえだったが、後半ずいぶん間違えていた。毎度のことだから驚きはしないけど。


演奏が終わり会場を出たらQRコードを観客がケータイでどんどん読み込んでいたので、わたしも読み込んでみたら、(株)ケイブが運営する菊地成孔スペシャル・コンテンツサイト(ケータイのみ)に飛んで、そこからペペの着うたがダウンロードできるようになっていた。どのくらい需要があるのかわからないけど、ペペの営業方針は路線変更したのかもしれない。今回のフロア対応仕様といい、売り上げをのばさないとまずいのだろう(そりゃ商売だから当たり前だけど)。なるべく続いてほしいから(ファンなので)、ライブには今後も通おうと素朴に誓いながら帰宅。1stヴァイオリンの青年が交代していたので備忘のため書いておく。名前はタナカシュウヘイさんだったかな。