伊藤絵里子個展 サイトシーイング@原宿HB Gallery



 伊藤さんのすてきなイラストを知ったのは2008年の春のことで、そのとき開催されていた『青果』展には行けなかったのでいまだに悔やまれる。いずれにしても、それ以来わたしがいちばん好きなイラストレーターである。今回は、多摩川河川敷、金沢文庫秩父などで取材をされたらしい。
 どの作品も日々の暮らしから決して遠くない(身近な感じのする)題材だから、サイトシーイングという個展のタイトルには「?」と思うが、彼女の作品を見ていればじきにわかる。彼女の場合は、sight-seeing(場所-眺める)という意味なのだと。観光というのは、本来的には、おそらく日常をあらため捉えなおし、日々の単調な生活から、光(あるいは希望のようなもの)を見出していく作業なのかもしれない、などと思いながら表参道の裏路地をホテホテと歩いて帰った暑い日曜の午後であった。