7月に読んだ本(読書メーター「まとめ」機能による)




あつさのせい、であんまりよめませんでした。







2010年7月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2508ページ



■BUTTER!!!(1) (アフタヌーンKC)
筆者の作品の主題はコミュニケーションの難しさにおかれているものが多い。本作では、それが高校の社交ダンス部で描かれている。ダンスにおける立ち姿は人が自分に向き合う姿そのものだし、ペアダンスのステップは人と人とのコミュニケーションのプロセスそのものだ。老若男女を問わず、広く深く訴えかける優れたテーマ性があるので、ヒット作になる予感がする。
読了日:07月23日 著者:ヤマシタ トモコ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6938406



漱石―母に愛されなかった子 (岩波新書)
である調、だ調、ですます調が混在する異様な文体(まるで手入れされていない文字起こしのよう)だが、漱石作品の分析には目を見張るものがある。愛は感情としては自明だが、原理的には他者に伝えきれないというテーゼに基づき、漱石を通して、人と人とが承認をめぐる闘争に巻き込まれていくさまを精緻かつラディカルに読み解いていく。現象としての人はまるで言葉で捉えきれない存在だが、人は言葉で切り取った現実に縛られて生きていくのだと得心させられた。
読了日:07月14日 著者:三浦 雅士
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6822391



■OUT 下 講談社文庫 き 32-4
上巻の後半ですでに予感があったが、この作品は本質的には恋愛小説である(殺人などの犯罪はむしろ後景にある)。テーマは人間の愛憎、孤独、そして実存。過去の恋愛経験で殺したいほど好きになった相手がいれば、サディスト佐竹(まるで、男性の性衝動と攻撃性を抽象化したかのような造型!)にかなり感情移入できるだろう。印象批評になるが、邦子と弥生のリアリティが凄い!とくに邦子のダメ人間ぶり。客観描写と主観描写の絶妙なバランスが素晴らしい傑作である。
読了日:07月11日 著者:桐野 夏生
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6792192



■OUT 上 講談社文庫 き 32-3
冒頭の数ページを読んだだけで、『闇金ウシジマくん』に通じる沼気にあてられ、調子が悪くなった。が、絶妙の心情描写でぐいぐい読ませ、作家のプロフェッショナリズムを強く感じた。敏感な人にはちょっと描写がエグ過ぎるだろう。とくにバラしの部分は生理的にくるものがあった。
読了日:07月11日 著者:桐野 夏生
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6783088



■不安を生きる (ちくま新書)
現代人が抱える「都市的不安」を上手くすくい上げている。
読了日:07月10日 著者:島田 裕巳
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6780453



■芋虫 (BEAM COMIX)
時間がいかにエロティックなものかということを考えさせられた。ひとが生を享け、傷つき、死にゆくことがもっともエロティックであり、官能であるということについて考えさせられた。乱歩作品の解釈としては『パノラマ島』には劣る。企画そのものが柳の下のどじょう狙いだから仕方ないのだろうが。
読了日:07月08日 著者:江戸川 乱歩,丸尾 末広
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6750051



■歪んだ複写―税務署殺人事件 (新潮文庫)
脱税や収賄、饗応の強要など尽きぬ悪事をはたらく欲にまみれた人間の悲しさに、出世主義の税務官僚の独善性をクロスオーバーさせ、腐敗した税務署の内情を背景に連続殺人が描かれる。俗なファクターを綿密に筆にしながらも、どこか強い反俗な清張の意志を感じさせる一冊。
読了日:07月04日 著者:松本 清張
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6697718



■砂漠の塩 (新潮文庫)
清張作品で心中(叶わぬ恋)が主題になることはめずらしい。デカダンな男女の人生がとてもはかなく弱いものに見えやすくするための舞台設定(中東)がもしや裏の主題ではないかと思わせるほど、砂漠の国についての描写が優れている。
読了日:07月02日 著者:松本 清張
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/6674167



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