10月に読んだ本(読書メーター「まとめ」機能による)



わりといろいろな本が読めました。同人誌原稿は、本日執筆終了。書評と評論と散文詩が載ります(予定)。12月の文学フリマで販売します。




2010年10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3784ページ


■問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ (光文社新書)
大まかに躁病について掴みたいならまず161ページ(第6章)から読み、その後1〜5章と読むことをお勧めする。1〜5章は主に雑誌や新聞記事を引用して、躁病患者と思われる人物を紹介し、随筆的に検討している。あとがきが一番面白い。
読了日:10月31日 著者:春日 武彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8257451


■死と身体―コミュニケーションの磁場 (シリーズケアをひらく)
人の知恵の心棒に、答えが出ないことに耐え続ける、つまり問い続ける、考え続けることがある。その著者の身の構えがすこぶる生の哲学だ。本書にもそれが溢れている。何はともあれ矛盾を生きていく、という人生訓話に落としてしまうと陳腐に響くのかもしれないが、しかしそれを誰が否定できよう。趣味嗜好信念信仰の違いはあれど、病みつつ老いつつ生きているわたし(たち)はその意味、意義、価値を問わざるを得ない。ので、その杖となる一冊。
読了日:10月26日 著者:内田 樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8194117


■ウンコな議論
原理的に、つまり本来的な意味で論理的に考えるのは、生活の中ではなかなか難しいから、タイトルと内容の難解さのギャップに驚く読者も多いだろう。最後の方はかなりグサグサこころを突き刺される感じで読むのが辛かった。わたしもウンコな議論を愛好する弄便家(エセインテリ)のひとりだからである。
読了日:10月24日 著者:ハリー・G・フランクファート
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8153461


村上春樹を音楽で読み解く
五人の文筆家が音楽を軸にして村上作品を読む試み。すこぶる画期的な着眼点であり、この方法論で文藝評論が変わっていったら面白いと考えもするのだが、本書が春樹の有名性に頼って商品として成立している点は否めない。だから、一般化するのはなかなか難しいだろう。評論五本+ディスクガイド、鼎談、監修の栗原氏の丁寧さが光る付録つきと盛り沢山。このような書籍が刊行されたことを十全に寿ぎたいのだが、読者のひとりとしては全体的に誤字が目立つ点は気になると言い添えざるを得ない。
読了日:10月20日 著者:栗原裕一郎,大谷能生,鈴木淳史,大和田俊之,藤井勉
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8100330


■〈学問〉の取扱説明書
読みたい本が増えてしまったので、面白かったが、読まなければ良かったのかもしれないと感じたり考える訳だが、後の祭である。文藝に生きる者としては法学の項がすこぶる面白かった。法学はつじつま合わせと権威主義って印象は迫力があるし、まあそんな単純なものではないのだろうけど、どうしたってそれが心に残るのは否めない。
読了日:10月20日 著者:仲正昌樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8100098


■訳者解説 -新教養主義宣言リターンズ- (木星叢書)
読みたい本が増えすぎて困るなあ罪深い作品であるのう、と思いながら読みすすめた。とりあえず『ウンコな議論』は読む。訳者解説で一冊本を作るなんてまったく凄いよね。管見の限りでは前代未聞なり。
読了日:10月19日 著者:山形 浩生
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8097849


■さよならソクラテス (新潮文庫)
まことに恐ろしい本だ。いや恐ろしいのはソクラテスか。ソクラテスを恐ろしいと考えるわたしか。繰り返し読む予感がしなくもないが、わたしはその予感が恐ろしい。
読了日:10月18日 著者:池田 晶子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8082122


■昭和史 七つの謎 Part2 (講談社文庫)
巻末に収められている『宮中祭祀というブラックボックス』(原武史との対談)が極めて興味深い。
読了日:10月18日 著者:保阪 正康
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8079735


■子どもは判ってくれない
三度目の再読。ためらいの内田学。とてもよい昆布茶と海苔巻きで済ませた遅い昼飯のあと、開け放した窓から涼しい秋の風が吹き抜けて、「ああ洗濯物干さなきゃ」と思いつつも床に寝転びながら読むのにおすすめ。
読了日:10月17日 著者:内田 樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8075833


■アホの壁 (新潮新書)
焦点的自殺を紹介する第二章がすこぶる恐ろしく面白い。まことに面白すぎて恐ろしくなるほどである。ここまで平易にアホについて真面目に語れることはほとんど驚異で、超絶的なことであるとしみじみ感じた。筒井先生への畏敬の念は深まるばかりである(ファンなので)。
読了日:10月17日 著者:筒井 康隆
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8066194


ソクラテスよ、哲学は悪妻に訊け (新潮文庫)
恐ろしい本。繰り返し読もう…。
読了日:10月16日 著者:池田 晶子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8048028


■夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです
一気に読むと体に悪いことが分かったので、3日間に分けて読んだ。彼の創作に対する姿勢、つまり、物語ることへのおそろしいまでの欲深さと、生活を律する禁欲さに、わたしはとても疲れた。読んでいて楽しいとは思えない、しかし読みすすめざるを得ないという憑かれた感じもあった。記事としておもしろいのはロシアの読者からの質問にたいする一問一答。これはもう本当におもしろくて笑い転げたので興味のある方はまず171ページからどうぞ。
読了日:10月15日 著者:村上 春樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8035968


■14歳からの哲学 考えるための教科書
生きているのは謎だから生きるという考えは、とても恐ろしい。159ページから一気に難解な哲学をしているので、大人の読者、つまりわたしにも分からないことが分かった。平易な文体で本質を突いた、恐ろしい哲学実技のすすめである。
読了日:10月11日 著者:池田 晶子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/7985242


■私の嫌いな10の人びと (新潮文庫)
笑えるのがいい。しかし笑いには反省が付き物だから、なぜ笑ったのかを考え、シリアスになりやがて憂鬱になってくるのではないか。生きることそのものに悩んでいる人は読むといいが、中にはここから哲学の道に入りこんでさらに深い悩みと考えに捕らわれる人も必ずいると判断するのが妥当なので、危険な書物である。
読了日:10月08日 著者:中島 義道
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/7937524


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