読売日本交響楽団 第172回東京芸術劇場マチネーシリーズ


指揮=レオポルト・ハーガー
ソプラノ=アガ・ミコライ   メゾ・ソプラノ=林 美智子
テノール=村上 敏明  バス=妻屋秀和
合唱=新国立劇場合唱団  合唱指揮=三澤 洋史

ベートーヴェン交響曲第9番 ニ短調作品125「合唱付き」
http://yomikyo.or.jp/info/concert.php より

指揮者は、レオポルト・ハーガー氏。もうすぐ80歳ですが、年齢を感じさせない力強く熱狂的な指揮が素晴らしかったです。第九という曲が、指揮者の魂を鼓舞する面もあるとは思うのですが、特に第4楽章は、シラーの詩をずっと歌いながら指揮をしていて、ハーガー氏の第九に対する愛が伝わってきました。

むかしクラリネットをかじっていたので、どうしても木管楽器のアンサンブルが気になります。第2楽章では、オーボエファゴットが急速なソリをしていてとても良かったです。クラリネットもふたりいたのですが、ダブルリードの楽器とは実に対照的でとっても地味でした。金管楽器はトランペットとホルンが活躍していましたが、トロンボーンはずっとだんまりを決め込んでいて、第4楽章でようやく思い腰を上げる感じ。そういう曲だったのだなぁ。

どこの楽章だか失念しましたが、チェロが歌って、それにコントラバスも加勢、それをビオラに受け渡し、最終的にはバイオリンが声高らかに歌い上げるという一連の流れがあって、ベートーベンのエンターテイナーぶりを改めて確認しました。

第九を改めて腰をすえて聴くということはなかなかないですし、その音楽的な構造に注目して聴く機会というのも、ぼんやり暮らしているとなかなかないわけですが、楽しい時間を過ごすことができました。どんな音楽であっても聴くたびに異なる聴取体験をしているのですから、聴感上飽きてもさらに深い音楽体験はできるのだろうと感じさせられたコンサートでした。