[雑文]SNS時代の音楽批評



SNSの普及もあり、人びとが共感し合うことを元にコミュニケーションを図る傾向は強まり、それはとどまることを知らない。そんな時代に音楽を批評することは益々困難になっていくだろう。しかし、ぼくはあまりその困難さを恐れていない。なぜなら、すぐれた真の批評にはつねに対象への深度と確度をあわせもつ態度が求められると思うからだ。対象への深度と確度、というのは、言い換えれば、背すじがピッと伸びている共感のことである。だから、その批評は時に批評対象を厳しくえぐり取ることもあるだろう。しかしその痛みなしには批評はなし得ないし、けっきょく、批評家その人がどんな風に生きてしまっているのか、あるいは生きざるを得ないのかがモロ出しになるのが、これからの音楽批評だと思う。

きれいごとを言っていてもそれが限りなく確からしくなければ、誰も読んではくれないだろう。そんな中、意味と意義のある批評をつむいでゆきたい。