鈴木慶一 / SUZUKI白書 (1991, 東芝EMI)



 鈴木慶一というひとは、こういうことを言ってはなんだが、ぼくの中では「歌がヘタ」というイメージで定着していた。細野さん周りのミュージシャンを辿って頂けば、いやでもムーンライダーズ周辺も聴くことになるのだが、興味がもてなかったのは、この人はあまりに歌がヘタではないか、という、ただその1点に尽きる(確か何枚かアルバムも聴いたのだけど、記憶がないのはたぶんそのせい)。このアルバムはブライアンとムーンライダーズをこよなく愛す山下スキル邸で聴かせていただいた憶えがあるのだが、そのときも、ぴんとこなかった。
 しかし改めて聴くと、このアルバムはイイね!!ダメ男の心情が適度な(?)諧謔風味で綴られ、エセオリエンタル風味の楽曲も数曲。サウンドのクオリティーもかなり高いし、曲も良い。しかしつくづく若かりし頃(苦笑)に、聴かなくて良かったな、と思うアルバムではある。仮に中学生のときこのアルバムを聴いていたとしてもたぶんぼくは何を言っているのか分からなかっただろうし。今聴くとピリピリ来るね(笑)。イヒヒ。っていうか、「LEFT BANK(左岸)」ってやっぱり良い曲だよね。