Macho Piano

以前頂いたピアノ・コンピ『マッチョ・ピアノ』を聴く。
マイケル・ポンティのラフマニノフピアノソナタ2番」はやっぱり
イカれた演奏だと思う。しかしその迫力に引き込まれてあっという間に
曲が終わってしまうのだ。正直、クラシックという器を利用してロック
しているよな、と感じる。力強い、というよりむしろ乱暴な演奏なのだ。


で、続くのが今年聴いた音楽の中で1位2位をスパンク・ハッピーと
争おうかという(笑)ニコライ・カプースティンの「ソナタ幻想」だ。
これまたとんでもない演奏で、聴いている間に、「ああもっと音楽を
聴かなくちゃ、聴かなくちゃ」という気分にさせられる。ジャズの要素を
摂り入れたクラシックの作曲家は沢山いると思うけれど、ここまでジャズ、
クラシックの両者を融合させることに成功した、自作自演ピアニストは
彼を除いて幾人居ることやら。むろん、こういうセリフも無知が故に、
云えるのだけど(苦笑)。果たしてカプースティンみたいな演奏家は他に
いないのだろうか。そういえば、今年はソビエト=ロシア・ジャズも
探求しよう、とか思っていたけど、すっかり忘れてたな。カプースティンは
名前の通り、ソビエトの人で、かの国で敵性音楽(笑)と目されていた
ジャズを大胆に取り入れた曲ばかり(?)作って、どうやって食べていたの?
などと詮無い疑問も浮かんでは消えたり。カプースティンの後は、バッハの
シャコンヌ」だ。オリジナルは、やはりパイプオルガンで演奏されたのか。
うまく編曲されているとは思うけれど、パイプオルガン版も聴きたいな、
と感じる。そしてラストはストラヴィンスキーだ。ひいい。これまた、かの
ポンティ師匠の激情ほとばしる演奏で、まるでクラシックという音楽自体が
マッチョな世界なのではないか、と錯覚を覚えるような感じ(ある意味
マッチョなんだけど。これにはクラシックファンも異論はないと思う)で
ラクラする。ていうかこれやっぱロックですよ(笑)。
今年はすっかりクラシック&ジャズ色に染まりながら、良い感じで年が暮れそうだ。


(註:J.S.バッハシャコンヌ」は、「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」より)