エブリシング・プレイ / ルールー・モナムール (1987, クラウン)



ワールドスタンダードを休んで、その間に鈴木惣一朗が作った
グループ、エブリシング・プレイ。ワルスタでは基本的に、インスト
バンドという枠で動いていたので、歌ものがやりたくなったの
だろうなーと思います。惣一朗さんというひとは、自分では歌えない
(歌わない?)ミュージシャンで、その歌心をサウンド全体で表現
するというか、そこに彼の特質が顕著に現れているように思うのです。
まあ、そんなスタンスに立つ時点で、かなりサウンドが捻れて
でてくるのは必至。しかもインストで表現しつつも、心境的には
シンガーソングライターなわけだから、歌いたいという気持ちと、
歌から自由でいたいというような葛藤が常にあるんじゃないかな、と。
まあ、これは1ファンの至極勝手な妄想なんで、あてにしないで下さい。


このアルバムは…うーん、下世話に言っちゃうと「高尚渋谷系」ですかねー。
ひどいネーミングだと思うけど、過去のポップスに対する強い愛と膨大な
知識を背景に、音楽のフリーな感じを希求する感覚をもって、音楽に臨む
姿勢を感じられるので(分かりにくいな)。ちょうど渋谷系(死語)が出始めた
時期だしなー。同時多発的に当時、心ある音楽家たちにはそういう気分が
あったんじゃないかなーと。このアルバムでは、鈴木さえ子の一連の作品に
通じるようなキュートさ、美しさ、遊び心が感じられます。すてきなアルバム。