エスカレーターで徒競争



大江戸線清澄白河駅に似た場所にいる。しかし、ここは地下深く、大江戸線の深度なんてものでは
なさそうだ。妹に誘われて、人のいるエスカレーターで徒競争をする。ぼくらのほかにも利用者が
いるが、彼らとぶつからないようにして、一刻も早く地上まで出ることが目的だ。妹と競争するという
時点で、かなり恥ずかしさを覚えるが、なりふりかまってはいられない。一生懸命エスカレーターの
階段を走って上るが、いつまでたっても出口へは近づかない。大きなエレベーターで、次第に
苦しくなってきたぼくの真横には妹が余裕の表情で走っている。負けられないぞ、と思うが、
負けてしまいそうだ、とも思う。